2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00720
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐川 英治 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00343286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 秀陵 獨協大学, 国際教養学部, 専任講師 (30802011)
河上 麻由子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (50647873)
小尾 孝夫 大東文化大学, 文学部, 准教授 (90526675)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 古代末期 / 魏晋南北朝 / 東アジア史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず6月に第3回の国内研究会を開き、研究分担者の河上麻由子『古代日中関係史』、研究協力者の河内春人『倭の五王』(ともに中公新書)の合評会をおこなうとともに、ビザンツ史の井上浩一大阪市立大学名誉教授を講師に招き「古代帝国の相続人―東西比較のために―」のテーマで講演していただき、ビザンツ史における古代末期論の意義ならびにローマ帝国と古代中国の比較に関する西洋史側からの視点について貴重な示唆を得た。続いて、9月に第4回の国内研究会を開き、小宮秀陵「6世紀中葉新羅の領土拡大と信仰」、河上麻由子「南北朝時代の王権と仏教」、小尾孝夫「六朝建康の仏教受容と寺院空間―梁代建康の全盛とその歴史的背景―」、佐川英治「漢帝国以後の多元的世界」の報告をおこない、これらの成果をもって10月にパリで開催された“Beliefs and Cultural Flows of East Asia in the Late Antiquity and Medieval Period” (College of France)に参加した。この会議は我々の知る限り、「東アジアの古代末期」をテーマに掲げた初めての国際学会であり、この会議において我々は、5~6世紀の東アジアの歴史的展開ならびにその意義を考えていくうえで、信仰とくに仏教の国際的な広がりや社会への浸透が重要な意味をもつことを明らかにした。また佐川英治は古代末期の議論を組み込んだ東部ユーラシアの視野からする新しい中国史の概説書『中国と東部ユーラシアの歴史』(杉山清彦・小野寺史郎と共著、放送大学出版会)を出版した。その他、研究代表者と分担者は、国内外での論文執筆や学会報告を通じて積極的に研究を推進し、その成果を広める活動をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内では著書や論文の成果も現れ始めており、おおむね順調に進展している。海外では、海外の研究協力者とも協同し、「東アジアの古代末期」をテーマする国際学会に研究代表者・分担者全員で参加し、成果を発表することができた。また個別に国内外で研究発表をおこなった。以上のことから最終年度の成果発表に向けた準備は、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を踏まえ、西洋史における古代末期の議論を参考に、東アジアの多元的な歴史を構築していくために、今年度からは以下の5つのテーマを立てて研究を進めていく。 ①5世紀を転換期とする中国社会の変容、②3~7世紀における中国文化の伝播と「中心」の拡散、③3~7世紀の「中華」の多様性と東アジアでの受容、④3~7世紀における仏教の浸透と「中華」の変容、⑤西洋の「古代末期」と東アジアの比較 以上のテーマの下、今後は研究代表者・分担者の研究をさらに進めていくとともに、国内外の研究協力者との共同研究を一層推進していく。国内の研究協力者に対しては今年度から来年度にかけて研究会を開いて共同研究を進めていくとともに、海外の研究力者に対しては東京に招聘して国際シンポジウムを開くなどして共同研究を深めていく。
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Research Products
(19 results)