2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Urban System of Herculaneum: City Planning and Daily Life Revealed in Sewers
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18H00732
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
池口 守 久留米大学, 文学部, 教授 (20469399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 浩志 上智大学, 文学部, 名誉教授 (20112162)
堀 賀貴 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20294655)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エルコラーノ / ポンペイ / 動物考古学 / 獣骨 / レーザースキャン / 港湾システム |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年9月にエルコラーノ,ポンペイ,オスティアでの調査を実施した。3次元デジタル撮影の技術により得た建築物に関する情報は堀が近刊『古代ローマ人の都市管理』『古代ローマ人の危機管理』,および国際学会で用い,実測データにもとづく研究が都市工学的なテーマに対してもつ潜在力を示した。また池口はサレント大学の協力を得て獣骨データの解析も進めており,イタリアと日本でこれに関連する成果を発表した。池口は港湾システムの研究も並行して行っており,その成果の一部は論文「ローマ期ティレニア海沿岸の港湾インフラの発達と輸送費の低下」で発表したほか,ピサの沈潜博物館(船の修復作業を経て久しぶりに開館された)を訪問し,古代ローマ期の船舶の構造や船荷に関する知見を得て,さらなる成果発表に備えている。港湾システムという概念は帝国全体の物流,さらには帝国外との交易とも関連するが,池口はローマ時代の経済の特徴を地中海の輸送とインド洋交易を含む形で概観する論文「古代世界の経済とローマ帝国の役割」(『岩波講座 世界歴史 ローマ帝国と西アジア』)を発表した。一方,豊田は2021年の広島史学研究会大会西洋史部会小シンポジウムで,近年のボーリング調査がもたらす知見に注目して「Ostia研究の今と特異性」と題する発表を行った。2020年2月以降,新型コロナの感染拡大により現地調査が困難な状態が続いているが,これまでの調査結果を文献等の情報で補うことにより,上記のように一定の成果を始めている。2022年度に補充調査を実施することにより,最終的な成果公開が可能になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年9月の調査は公開エリアに限定されたため,あらためて非公開エリアの調査を実施する予定であったが,2020年2月以降の新型コロナ感染症の拡大により渡航が困難な状態が続いているため,ひとまず2019年の調査結果をふまえて研究成果の発表を進めてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
エルコラーノ,ポンペイの非公開エリアを含めた調査をあらためて遺跡管理局に申請し,2022年9月を中心に実施する計画である。これと並行して,最終的な成果発表に向けたとりまとめを行う。
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Research Products
(12 results)
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[Book] 歴史家の調弦2019
Author(s)
上智大学文学部史学科編
Total Pages
358
Publisher
SUP上智大学出版
ISBN
978-4-324-10670-9