2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive research for social complication in the early pastoral nomads and reconstruction of east-west trade routes in Eurasia
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18H00736
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中村 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (40403480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 朋美 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (10570129)
正司 哲朗 奈良大学, 社会学部, 准教授 (20423048)
木山 克彦 東海大学, 清水教養教育センター, 講師 (20507248)
向井 佑介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (50452298)
高浜 秀 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 客員研究員 (60000353)
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モンゴル / 遊牧民 / 交易 / 青銅器時代 / 匈奴時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紀元前1000年紀に活発化するユーラシアの東西交易網の具体像を復元することが目的である。特にモンゴル高原の青銅器時代から匈奴時代を対象に、短剣、飾板、ガラス製品を通じて以下のことを明らかにした。 まず、広域分布する短剣は、トゥヴァ、ザバイカリエ、シラムレン-ラオハ川流域で騎馬遊牧民に継承される青銅短剣が出現する。その系統の短剣は黒海沿岸まで広がるが、そこですでに成立していたバイメタル短剣の影響を受け、鉄器化した。この影響が逆方向に流れ、アルタイ、内蒙古長城地帯の短剣が鉄器化した。 飾板は、シラムレン-ラオハ川流域で前9世紀には利用が始まり、その後、草原地帯西部・中部のスキタイ/サカに受容された。そこで、西アジアに由来する動物闘争文が取り入れられ、今度は長城地帯の飾板に影響した。 ガラス製品は匈奴時代が中心となるが、モンゴル高原のガラス製品及び小玉は、蛍光X線分析の結果、地中海世界、中央アジア、東南アジア産のもので、特に地中海世界のナトロンガラスが目立つことがわかった。ただし、中央アジアの遊牧社会と都市社会の境界地域でも地中海世界のガラスが出土し、東南アジアのガラスが北回りで入ってくることから、いわゆる古シルクロードが主要なガラス導入経路であった可能性が高い。 以上を整理すると、前1000年紀の初頭には草原地帯でも北側の「草原の道」が機能しており、シラムレン-ラオハ川流域から黒海沿岸までの流通網が形成されていたといえる。一方、西から東への交流に関しては、黒海から出発したのちは、中央アジアでも都市社会に近い地域との関係が強く、多くがそのままモンゴル高原南部の長城地帯に到着する。つまり、草原地帯の東西交流は方向によって、北側と南側に分かれていた可能性が考えられた。ただし、北の草原の道と南の古シルクロードの間をつなぐ経路も十分に考えられるため、今後はその検証が課題である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)