2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Tolerant City without Exclusion: The Production of Space between Resilient Revitalization and Urban Polarization
Project/Area Number |
18H00773
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
水内 俊雄 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 教授 (60181880)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
コルナトウスキ ヒェラルド 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (00614835)
菅野 拓 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (10736193)
垣田 裕介 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (20381030)
稲月 正 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (30223225)
五石 敬路 大阪市立大学, 大学院都市経営研究科, 准教授 (30559810)
蕭 コウ偉 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (30796173)
中山 徹 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (40237467)
福本 拓 南山大学, 人文学部, 准教授 (50456810)
キーナー ヨハネス 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (50825784)
陸 麗君 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (70803378)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | セーフティネット / 居住支援 / インナーシティ / 地域再成 / 都市論 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き、3テーマ5チーム編成で臨んだ。サードセクターの役割分析をメインとし居住支援システム構築担当のチーム1。サードセクターのみならず小ビジネスを中心とするインフォーマルな雇用等をバネに機能する地域ビジネスやサービスハブの実態解明を行うチーム2。両アプローチを架橋し、包容力ある都市論を唱道し、都市カバナンスの社会的認知を高める役割を担うチーム3の編成である。 チーム1-aは、ホームレス支援のメインルートである一時生活支援事業を中心に、生活保護や生活困窮者自立支援の相談事業などとのコンビネーションの実態を知ることに注力した。支援体制それぞれの個性と派遣社員寮を含む地域資源のあり方を要因として、手厚く広範な居住不安定層をキャッチするところから、限定的な支援にとどまるところと、サービスの均質性という観点からは支援の偏在が明らかにされた。チーム1-bは、上記の手厚い支援を行う先進事例についての居住支援に機能的で不可欠な手法を明らかにした。 チーム2-cは、支援の窓口における寮付き住み込み就労を使うルートが著増したことの実態把握を行った。派遣業者側も人材不足の中、生活困窮の窓口との連携を図り、一部の企業では、かなりのレベルの支援マニュアルの用意されていることが判明した。チーム2-dは、脆弱地域における地域ビジネスの実態把握として、アートをキーとしたコミュニティ再成に関わる美辞ネルの役割と、不動産業社が介在した民泊のバックヤードビジネスの実態を明らかにした。 チーム3では、都市論につながる上述の調査からその一端を明らかにしようとしている包容力ある都市を論じる有効性について議論を深めた。特に西成特区構想とジェントリフィケーションや、ドイツにおける包容力ある都市施策のジェントリフィケーションケーションと真摯に向き合う施策の事例などを基に、いくつかの出版物でその成果を公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果として、予期していたレベルあるいはそれを超える知見を得たのは、チーム1-aの支援の窓口における調査で、安定居住層のキャッチの仕方の多様性と利用中の支援、そしてその出口においてそれぞれの癖や独自性のあることが、ヒアリングだけでなく簡単な入口調査を行って客観的に把握できたこと。チーム2-cにおいては、支援の利用者への就労支援というより、支援の利用者をただちに派遣寮につなぎあとは運営会社のほうに任せてしまうその実態を初めて把握できたこと、また一部の先進的な派遣業社においてかなりの生活支援に関するマニュアルを用意していることが判明したことである。そしてチーム3においては、都市論の錬磨の中で、特に当面の課題である包容力ある都市論とジェントリフィケーションの関係において、ドイツの事例で冷静な議論ができたことと、西成特区構想をめぐる当事者も含めた上での紙上論争ができた点、そして金融包摂という視点で、特にアメリカの支援ビジネスの実態について状況を初めて認知したことにある。 チーム1-bとチーム2-dの進捗については、前者は、チーム1-aの調査と連動して行っていたが、先進事例を決め打ち的に訪問し、居住支援の最先端のスキルやマナーを知りえたことは重要な成果であったと考える。後者については、中国人不動産業者の大阪市西成区におけるフォローアップ調査が行えなかったが、アートNPOの苦闘を当事者が執筆に関わったことで、当初予定していなかった観点から追究テーマを補完できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き3大テーマ5チーム編成で臨むことには変わりないが、同時にパンデミックの影響でハウジングセーフティネットの影響のもと、現場の急変事態にも対応する体制とする。 チーム1-aは、引き続き最後のハウジングセーフティネットを支える3制度、一時生活支援(生活困窮者法)、支援付き福祉住宅や 無料低額宿泊所(生活保護法)、こうした仕組みを統括するホームレス法に基づく制度の検証、および政策提言が中心となる。 本年度は、このトータルシステムの全国調査を実施する。チーム1-bは、主に居住支援で、日常生活支援住居施設の登場に伴う現場の動きのフォローアップを中心に、先行事例の実状調査、不動産業者への継続的な調査を行う。ここは現今の危機的状況においても不可欠なハウジングセーフティネットであり、その調査の重要性はますます増大する。 チーム2-cについては、経済包摂の事例としての社員寮調査の広範化を目指すが、パンデミックの影響でこの機能が落ちることも踏まえ、危機的事態におけるセーフティネットの福祉包摂との連携の在り方を至急追究することを、新たな課題とする。 チーム2-dは、ミクロでインフォーマルな経済のセーフティネットと絡めたその効果分析にあったが、不測の事態が生じたことにより、調査の前提条件が崩れており、危機の時期における再成型まちづくりのあり方を問うといった模索を行わざるを得ない。 チーム3の理論検討において、裁量、黙認、奨励といったキータームを念頭に、各チームの調査結果を理論的に位置付ける作業を行ってきたが、危機におけるこうした対応が可能なのかどうかを検証する。海外との交流は困難が予想され、関係する諸会議の延期が予想されるので、ネット会議などを多用する。その中で、理論の精度を高め、実践の伝播に努める。アウトプットは英語書籍、学術雑誌や、ブックレットなどで社会的に広報することには変わりない。
|
Research Products
(47 results)