2020 Fiscal Year Annual Research Report
Interdisciplinary Research of the Legal Reactions for the Crisis in the EU
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18H00798
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 典之 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70203247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和広 東邦大学, 理学部, 講師 (00781858)
門田 孝 広島大学, 人間社会科学研究科(法), 教授 (20220113)
春名 麻季 四天王寺大学, 経営学部, 教授 (20582505)
HANADA EVA 神戸大学, 国際連携推進機構, 准教授 (40581856)
植木 淳 名城大学, 法学部, 教授 (50364146)
志谷 匡史 神戸大学, 法学研究科, 教授 (60206092)
関根 由紀 神戸大学, 法学研究科, 教授 (60379493)
吉井 昌彦 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (80191542)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | EU法 / ヨーロッパ人権法 / 比較憲法 / 国家学 |
Outline of Annual Research Achievements |
元々、2020年度に実施する予定であったポーランド・トルンでの研究報告のためのニコラス・コペルニクス大学との共同ワークショップが2022年12月5日および6日に延期開催され、研究代表者・井上はじめ法学系の研究分担者5名と一緒に参加し、それぞれEUの個別問題(移民政策、教育成策、基本権保護、個人情報保護、社会保障)における論点を指摘したうえで、日本との比較においてその問題点を英語で報告するとともに、研究代表者・井上は、EUでの揺らぎを考える際の総論的な概念である憲法アイデンティティーと、EUの立憲主義の下での立憲的原理に対する愛着からの憲法パトリオティズムをめぐる議論を、日本との比較においていかなる憲法上の問題を提起するのかについて報告した。ポーランド側からは、どちらかといえばEUに懐疑的な当該国内での議論の憲法上の問題点が取り上げられ、特にポーランド最高裁の憲法法廷における根拠なき反EU的議論がポーランド憲法の解釈としても重大な欠陥があることが指摘され、このままでは英国と同じように、ポーランドもEUを脱退するPolexitという現状の憲法からみた問題点が指摘される報告を聞いた。これらの報告内容は、EUの揺らぎを考える上で、民主制とは何か、それは主権者国民の決定を基礎にするがそもそもnation-buildingを憲法上どのように考えるのかという論点の考察に行きつくのではないかというより根源的な憲法問題の存在、特に普遍的原理とEUでされている「法の支配」の原理は一義的な内容を持つものではなく、加盟各国の憲法状況において解釈される内容で展開されているという問題点を見出すに至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍も一段落し、欧州との行き来も復活したおかげで、2年間延期されていた共同ワークショップが開催され、特にEUにおいて揺らぎをもたらしていたポーランドのナショナリズムに基づくポピュリスムの実体を把握できたうえに、日本との比較において検討すべき課題が明確になってきたことから、上記のように研究進捗を評価することができた。但し、まだ研究成果が公刊されていないことから、その交換を進めるよう研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年12月の共同ワークショップの成果を踏まえた研究内容のまとめ、およびその公表を進めると同時に、中東欧での欧州懐疑主義がもたらすEUの揺らぎを基本条約との関係でどのように評価するのか、日本でのル辞する憲法問題をどのように比較対照して考えるのかを中心に研究を進める。そのためには、ヨーロッパからの研究者を日本に招聘して、本研究の代表者、分担者と共に問題を提起する具体的内容を議論するための意見交換を進めていく。
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Research Products
(9 results)