2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00802
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
今井 猛嘉 法政大学, 法務研究科, 教授 (50203295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
膳場 百合子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00548886)
木林 和彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20244113)
森 大輔 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (40436499)
遠山 純弘 法政大学, 法務研究科, 教授 (70305895)
松村 良之 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (80091502)
長谷川 晃 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90164813)
城下 裕二 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90226332)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | AI / 自動運転 / 刑事責任 / 抑止効 / 法と経済学 / 法と心理学 / 法医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
AIの法的責任に関する基礎的研究を継続した。第一に、AIに対する刑罰の可能性を検討するため、刑罰の機能、特に抑止効に着目した先行業績を確認し、日本の刑法学、法哲学における議論との整合性を検討した。日本では、応報刑論が主流であるが、人間ではないAIに対して応報感情を向けうるのかという基本的な疑問から、AIに対する刑罰賦課の可能性を許容する見解の検討を続けた。AIとの関係では、刑罰による犯罪抑止効果が重要となる。そこで、刑罰の犯罪抑止効果の実情を再確認するため、死刑が有する抑止効につき、法と経済学の観点から検討を加えた。また、心理学の観点から、AIがもたらした結果に対する責任判断の検討も行った。AIは、人間のような精神構造を持ち得ないので、責任非難の対象とならないとの理解を踏まえ、責任非難の前提となるべき責任能力の生物学的要素の確認を開始した。その前提として、法医学の観点から、薬物摂取が人の事理弁識能力、行動制御能力に及ぼす効果を検討した。生物学的要素が一時的に欠落する人間も、責任非難の対象となりうるとされている現在の通説的理解が、法人に妥当するか、更にはAIに妥当するかの検討を開始した。自動運転の公道での利用については、AIの社会的実装が強く期待される領域であるため、重要な検討領域と捉え、分析を継続した。具体的には、AIに制御される自動運転により交通事故が発生した場合の刑事責任のあり方について、研究が継続された。いわゆるレベル3とレベル4以上では、刑事責任の問われ方が異なるが、それらに通底する刑事責任論を構成できないかとの問題意識が、AI時代の責任論に重要であるため、民事法分野の先行研究(法人に対する民事責任論の再構成等)を踏まえて、検討が開始された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AIの処理により社会的損失が生じた場合に、その損害をAIに帰責させる方法についての多角的な検討を継続できた。刑事法学、法と心理学、法哲学、法と経済学、法医学の観点からの分析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
AIの処理により社会的損失が生じた場合に、その損害をAIに帰責させる方法についての多角的な検討を、一層、促進させる。具体的には、AIと法人との比較を進め、法人処罰や法人に対する民事責任の分配について、研究を進展させる。これと併行して、自動運転車による事故を、最小の社会的費用で抑止するための方策を検討する。
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Research Products
(6 results)