2020 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00802
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
今井 猛嘉 法政大学, 法務研究科, 教授 (50203295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
膳場 百合子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00548886)
木林 和彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20244113)
森 大輔 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (40436499)
遠山 純弘 法政大学, 法務研究科, 教授 (70305895)
松村 良之 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (80091502)
長谷川 晃 北海道大学, 法学研究科, 客員研究員 (90164813)
城下 裕二 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90226332)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | AI / 責任 / 自動運転 / 法と経済学 / 主体の哲学的分析 / 主体の心理学的分析 / 主体の行動モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
自然人、法人、AIの法的責任につき、AIの刑事責任を主たる検討対象として設定した上で、関連する基礎的研究を続けた。AIの刑事責任については、自動運転車の事故を想定した事例検討、レベル3の利用に伴って生じる事故への現行法による対処の限界、レベル4とトロリー問題の、法哲学の知見も踏まえた検討、AIや法人の民事責任の基礎となる占有概念の検討、AIを用いた医療の際の事故に係る民刑事責任の検討、それら検討の基礎となる自然人、法人、AIの存在に係る人々の意識調査(欧米と日本の意識の比較調査等)、そらら存在の挙動制御の法と経済学の手法による分析、コロナウイルスの拡大による行動変容が交通事故死傷者数に与えた影響の法医学的分析を通じた、自然人等に認められる行動選択のモデルなどを検討した。例えば、レベル2ないし3の自動運転車の走行が予定に反したものとなり、車内に居た者、あるいは車外を歩行中の無関係の者、あるいは他の車両内にいた無関係の者への損害発生(それらいずれかの者の死傷結果)が予想される場合、伝統的な刑法学説から一定の選択をした場合、その結論が、法哲学、法社会学、心理学、法と経済学の観点から最適解と言えるのかを、全員で議論し、現時点での問題点と、解決を得るための研究の方向性を確認した。来年度は、この知見に基づき、例えば、法哲学と刑法学の融合性を目指した研究を継続することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って、研究を継続できている。本研究は、自然人、法人との比較においてAIの法的責任、特にその刑事責任を、伝統的法学、法哲学、法心理学、社会心理学、法と経済学、法医学の知見を活用して多角的に分析することを目標としている。各分野を専攻する研究分担者が、各分野における先端的意識に基づく研究を行った上で、科研集会において、その成果を報告し、全員で検討を重ねた。AIの活用は、自動運転車のレベル4の利用が近づく中で、以前に増して重要性が高まっているが、そうした社会情勢に対応する基礎研究ができたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も、2020年度までの研究方法を用いて、多角的な検討を続ける。特に、レベル4の自動運転車によるトロリー問題が、現実に発生する可能性が高まっている現在、この問題に焦点を当て、刑法学(緊急避難)、法哲学(自由と強制の関係)、法心理学(関与者の選好)、法社会学(ある法政策に係る社会的受容性)、法と経済学(社会的効用を最大化するためのプログラムの探求)の見地からの検討を継続する。
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Research Products
(6 results)