2021 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00802
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
今井 猛嘉 法政大学, 法務研究科, 教授 (50203295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
膳場 百合子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00548886)
木林 和彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20244113)
森 大輔 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (40436499)
遠山 純弘 法政大学, 法務研究科, 教授 (70305895)
松村 良之 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (80091502)
長谷川 晃 北海道大学, 法学研究科, 名誉教授 (90164813)
城下 裕二 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90226332)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | AI / 法人 / 刑事制裁 / 共感性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の最終年度であり、これまでの研究を振り返り、展望を得ることを試みた。第1に、人、法人、AIに共通する刑事責任の基礎となる要素の確認に努めた。人に備わっている感情や他者との共感性は、そのままの形では、法人、AIには認められない。しかし、AIには、アルゴリズムの設定により、人との情報交換を通じた意思の連絡と、それに伴う共感性類似の作用を認定可能である。そうした共感性は、法益侵害という被害に直面した他者の感情理解を可能にし、AIには、人に対する刑罰制度に似た制度を妥当させる余地があることが確認された。法人については、同一視理論によれば、人とAIとの関係に係る理解を妥当させることが容易であるが、この理解は小規模法人にしか妥当しない。同一視理論では説明ができない、より大規模な法人の犯罪能力と、その前提にある共感性については、法人がAIや、AIに類する機能(人から独立して情報取得と処理が可能な機能)を有する場合には、人とAIとの関係に関する理解が妥当しうると考えた。第2に、法人やAIに、人に対する刑事制裁を適用することの可否、当否について確認した。刑事制裁の賦課根拠を応報感情の満足に求める場合は、法人やAIによる法益侵害について、人が、人による法益侵害に対するのと同様の否定的感情を持ちうることが前提となる。そのような事態も想定できるが、この理解には、法人やAIの背後に人の存在を要求する理解が影響を与えているため、法人やAI固有の刑事責任の整理としては不十分である。刑事制裁の賦課根拠を、再犯の抑止が社会全体の利益を維持し、高める点にあると捉えることで、否定的感情の客体とは必ずしもなり得ない法人やAIにも、抑止刑を科する根拠の説明が可能となる。その際、人に対する抑止刑論では、応報感情を満足させ得るのかが問題となるが、これは、その趣旨に遡った刑罰の再定義により解決可能である。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)