2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study to Promote the Relationship between Patient Safety and Dispute Resolution
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18H00811
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
平野 哲郎 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00351338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 哲 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00337453)
松村 由美 京都大学, 医学研究科, 教授 (10362493)
米村 滋人 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40419990)
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
松宮 孝明 立命館大学, 法務研究科, 教授 (80199851)
小谷 昌子 神奈川大学, 法学部, 准教授 (80638916)
小西 知世 明治大学, 法学部, 専任准教授 (90344853)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医療事故調査制度 / 医療ADR / 医療事故 / 医療訴訟 / 紛争解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、医療ADR利用者に対するインタビュー調査とアンケート調査を行い、その分析結果をまとめて論文として発表した。本研究では、利用者として、紛争当事者のみならず、代理人として関与した患者側・医療側の弁護士の意見も調査したため、訴訟との比較が可能となっている。調査結果によれば、泣き寝入りはしたくないが、訴訟は費用や労力の面で負担が大きいと考える紛争当事者が、ADRを利用していることが多い。ただし、ADRの認知度はそれほど高くないため、利用のきっかけは相談した公的機関や弁護士の場合が多く、相手方である医療機関から第三者を入れた解決をする手段として提案されている場合もあった。 利用した感想としては、当事者の多くは医師である調停委員が、中立的な立場から診療に関する疑問点に答えてくれたり、意見を述べてくれたことに肯定的な評価がなされていた。他方、弁護士としては、医療側も患者側も訴訟になった場合に立証の困難がある事案を「グレーなまま」解決できる点にADRのメリットを見出している。 医療事故の原因究明と再発防止という観点からは、ADRにおける医師の意見を何らかの形で医療機関にフィードバックする手段があることが望ましいが、非公開というADRのメリットとの関係で匿名化が必要である。 しかし、個人責任に還元せざるを得ない訴訟に比べて、ADRの方がシステム改善につながる可能性がある点で、医療事故調査制度と親和性があるということが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度まで新型コロナ感染症の影響で現地調査が滞っていたが、研究会はオンライン開催で対応できている。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症が落ち着きしだい、現地調査を実施する。
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