2018 Fiscal Year Annual Research Report
マルクス口述・エンゲルス筆記説に基づく『ドイツ・イデオロギー』テキストの再構成
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18H00834
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
窪 俊一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50161659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 泉 東北大学, 経済学研究科, 名誉教授 (50137395)
渡辺 憲正 関東学院大学, 経済学部, 教授 (50158648)
久保 誠二郎 東北大学, 経済学研究科, 博士研究員 (80400216)
橋本 直樹 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 名誉教授 (50180831)
田淵 太一 同志社大学, 商学部, 教授 (50242136)
石井 穣 関東学院大学, 経済学部, 教授 (10587629)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ドイツ・イデオロギー / マルクス/エンゲルス / 史的唯物論 / 口述筆記 / オーサーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
『ドイツ・イデオロギー』第1章オリジナル草稿の精細画像と、Marx-Engels-Jahrbuch 2003(新MEGA先行版)及び新MEGA第I部門第5巻(2017)の本文テキスト及び異文一覧の即時異文、後刻異文のテキストとの照合精査を行い、両版の即時異文の補完と後刻異文表記の補正を進めた。これに基づいて、『ドイツ・イデオロギー』のオンライン版作成のためのドイツ語版デジタルテキストを整備した。また日本語版デジタルテキストの作成及び翻訳にも着手し、同時並行で従来の研究史の整理と批判検討を進めた。ドイツ語版デジタルテキストはいくつかのレイヤーから成るが、最も重要なのは、①基底稿+即時異文、②基底稿、③基底稿+後刻異文の3つのレイヤーである。新MEGAテキスト部は③と同一である。この新MEGAテキスト部のテキストから、新MEGAの異文一覧を参照して、「削除」、「置換」、「挿入」、「順序変更」を復活・削除・元に戻すことを行い、②基底稿を作成した。そして、この②基底稿に、即時異文の削除箇所を組み入れ、①基底稿+即時異文を編集した。この即時異文および後刻異文の批判的検証作業の結果、『ドイツ・イデオロギー』第1章「フォイエルバッハ」草稿がマルクスの口述をエンゲルスが筆記したとする我々の研究仮説の正しさが証明できた。また、今年度作成したドイツ語版デジタルテキストを元に『ドイツ・イデオロギー』のオンライン版プロトタイプを作成した。これは2019年度に公開予定である。本研究成果は、2018年10月に武漢大学(中国)で開催された国際シンポジウムでも発表し、高評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『ドイツ・イデオロギー』第1章オリジナル草稿の精細画像と、Marx-Engels-Jahrbuch 2003(新MEGA先行版)及び新MEGA第I部門第5巻(2017)の本文テキスト及び異文一覧の即時異文、後刻異文のテキストとの照合精査を概ね終え、ドイツ語版デジタルテキストの整備を行っている。これらの作業は予定通り進捗しており、『ドイツ・イデオロギー』のオンライン版の2019年中の公開の目処もついた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に概ね作業を終えている『ドイツ・イデオロギー』第1章草稿オリジナルの精細画像と、Marx-Engels-Jahrbuch 2003(新MEGA先行版)及び新MEGA第I部門第5巻(2017)の本文テキスト及び異文一覧の即時異文、後刻異文のテキストとの照合精査・補完・補正を今後行い、順次公開する予定である。今年度は、ドイツ語版デジタルテキストに基づいて、日本語版デジタルテキストの作成及び翻訳作業を本格的に開始する。また、オンライン版『ドイツ・イデオロギー』の円滑な運用に向けてのテストを行う。
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Research Products
(14 results)