2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research on reliability evaluation and new dissemination methods of official statistics
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18H00837
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Research Institution | Satistical Information Institute for Consulting and Analysis |
Principal Investigator |
美添 泰人 公益財団法人統計情報研究開発センター, その他部局等, 客員上席研究員 (80062868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 茂 青山学院大学, 経済学部, 教授 (00330168)
荒木 万寿夫 青山学院大学, 経営学部, 教授 (20303050)
元山 斉 青山学院大学, 経済学部, 教授 (20383490)
保科 架風 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (90804865)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公的統計 / ミクロデータ / 法人企業統計 / 事業所企業統計 / 経済センサス / 環境経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,企業に関する統計と世帯に関する統計を対象として,精度向上を通じて公的統計全体の基盤を整備するとともに,研究利用の発展に寄与することを目的としている.これまで研究代表者,分担者が政府の統計機関と協力して実施してきた分析の経験を踏まえ,さらなる改善を実現するための研究を継続した.その中で,厚生労働省を中心として,労働統計の精度に関する問題にも取り組み,学会報告等を行った. 企業統計に関しては,財務省の法人企業統計年報と,総務省統計局の経済センサス(およびその前身の事業所・企業統計調査)が,それぞれ母集団名簿を整備しているが,公表される法人企業数には,それぞれ約270万,170万と,無視できない相違がある.研究代表者が入手したデータは,相互に照合を可能とするための制約から資本金5億円以上の法人企業であるが,試験的な照合結果によって,総務省の名簿に掲載されていない法人は規模が小さい場合が多く,従来の統計でも,経済活動の実態はおおむね正確に補足されていたことが判明した.なお,研究成果については,ミクロデータに関する守秘義務の範囲で,公開を準備中である.中小規模の法人企業に関しては,財務省および総務省のさらなる協力が必要であり,この点については,研究代表者と両省との間で,非公開で検討を続けている段階である. 世帯統計に関しては,各府省の協力の下に,分析の準備を進めた.秘匿措置に関する安全性と研究上の有用性の両面からの評価基準を整理するために,公的統計を中心に事例を収集した.なお,松本は総務省の全国消費実態調査と環境省の家庭部門のCO2排出実態統計調査の個票データを利用して,家計のエネルギー消費活動に関する調査を行った.また,アンケート調査により入手したデータを分析し,家計のリサイクル活動についても調査を行った.成果は国内外の学会で報告し,報告論文は現在専門誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に続いて,統計法で定める目的外利用申請のために,追加的に必要となる情報の整理を行っている.財務省の法人企業統計および総務省の事業所企業統計と経済センサスを分析の対象として,効果的な分析が可能となる年次に関して,両省と検討を進めた.前年度に利用した,企業統計の分析プログラムプロトタイプを利用して,対象とする都府県を増やして実施した推計の経験を踏まえて,プログラムの改善を進めている. 世帯統計に関しては総務省の「全国家計構造調査」を中心に,協力が得られる見通しが立っており,今後の分析が可能となる見込みである.その一方で,秘匿措置に関する安全性と研究上の有用性の両面からの評価基準を整理するために,国際的な先端的研究事例を収集し,情報を交換した.厚生労働省の作成する毎月勤労統計に関して精度の評価を実施し,さらに,賃金構造基本調査についても評価を開始した. 公的統計の利活用に関しては,利用者による適切な分析を可能とするような環境の整備が必要であり,公的統計の精度について解説する準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,以下のとおり研究を進める予定であり,研究の遂行のため,研究代表者は各研究分担者と随時情報の交換を行う計画である. (1) 企業統計については2020年度に地域別の照合と分析,2021年度に母集団推計と評価を行う.また,総務省との共同研究を進め,中小規模法人に関する分析を実施する. (2) 世帯統計については,2021年度にかけて試作する匿名データの分析を通じて,安全性と有効性を点検する. (3)最終年度(2022)には成果をまとめて公表する.
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Research Products
(10 results)