2018 Fiscal Year Annual Research Report
Building of a Global Business of the Aquaculture Business
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18H00897
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
内田 亨 新潟国際情報大学, 経営情報学部, 教授 (50453460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 義也 ハリウッド大学院大学, ハリウッド大学院大学(ビューティビジネス研究科), 教授(移行) (30062178)
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
平松 庸一 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90432088)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビジネスモデル / 養殖事業 / 水産物 / グローバル / 国際経営 / ブリ / 飼料 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、養殖事業に欠かせない飼料メーカーを中心に研究を進めた。というのも、飼料代は、養殖事業において60-70%のコストを占めるからである。したがって、養殖事業のビジネスモデルを構築するには川上にある飼料メーカーの存在が重要なのである。まず、世界的な養殖飼料メーカーの日本法人のグローバル戦略を調査した。同社は,持続的可能性とイノベーションをグローバル戦略の中核としているため,日本の市場参入当初から、小魚の含有量が少ない低魚粉の販売を主力としていた。同社は科学的データを用いることで、低魚粉の成果を市場にアピールしていることが明らかになった。 次に、大手水産会社のイノベーションに関する調査から次のことが明らかになった。すなわち、養殖事業の場合、生き物が相手のイノベーションのために、自然環境などのさまざまな不確定な要因が多い。事実、物の製造と異なり、工場に最新の機械を導入すれば生産性がアップするとは限らない。たとえ製造プロセスにおいてイノベーションが起きたとしても、生け簀の魚の数を増やせば生産性がアップするのかというと、そうとは限らない。海は表面上つながっていても、地域ごとに潮の流れや水質などが異なってくるからである。そのため、製造業でいえば工場としての生け簀と、製品としての魚を適切な量的関係が、現在でも完全に科学的に捉えられているわけではない。 最後に、中国における主要な水産養殖の産地である大連地域を中心とする遼寧省沿岸部における養殖事業の現状を調査した。その結果、大連地域では、ホタテ、ヒラメ、フグやナマコなどを、日本や韓国へ輸出する一方で国内市場の開拓にも力を入れていることが明らかになった。中国おける水産養殖事業は、中国国内市場の成長と併せて、世界的な需要の伸びが見込めるため、日本を含めた海外へも販路を拡大してきていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究組織メンバーは、個別に水産養殖企業や水産技術開発センターへのインタビュー調査など実施できたものの、有効なビジネス・モデルのあり方に関する理論の再構築が完成していない。これは、研究メンバーが学内業務多忙のため、全員参加の共有・協働による理論的・実践的含意の検討がなされなかったからである。また、研究代表者の所属機関の学部改組による学内業務によって研究時間を確保できなかったことも一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は次の通り研究を推進していく。 1.研究代表者および分担者の業績を全員が共有化し、それらについてレビューする。 2.ビジネスモデル、グローバル戦略の既存の文献研究を再度検討する。 3.ぶり養殖企業およびサケ養殖企業の事例研究を行う。 4.わが国の水産養殖企業を対象に「人材、戦略、顧客価値創造、収益」に関する質問票調査を実施する。 5.水産養殖に大きな影響を与えるサプライヤー企業である飼料会社、もじゃこ採取会社へのインタビュー調査を実施する。6.海外の水産養殖企業の事例研究を行う。
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