2019 Fiscal Year Annual Research Report
Building of a Global Business of the Aquaculture Business
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18H00897
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
内田 亨 新潟国際情報大学, 経営情報学部, 教授 (50453460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 義也 ハリウッド大学院大学, ハリウッド大学院大学(ビューティビジネス研究科), 教授(移行) (30062178)
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
平松 庸一 日本大学, 商学部, 教授 (90432088)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グローバル / ビジネスモデル / サプライチェーン / 水産養殖 / サステナブル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず外資系飼料会社を対象に、水産養殖における飼料の重要性と困難性を抽出した。その結果、次のことが明らかになった。①世界的な魚食需要拡大により養殖企業からの飼料需要も拡大している。②このため、飼料の原料となる小魚の漁獲も増加していたが、過剰漁獲や気候変動のため小魚の供給不足となり価格上昇を招いている。③そのため、飼料会社は低魚粉の開発をするため植物原料に着手している。しかし、この植物原料である大豆は、森林伐採により作付面積増大による弊害を招く。こうした環境破壊がさらなる気候変動を引き起こすのである。④また、低魚粉や植物原料の飼料は、従来の魚粉と比べ、いかに増肉係数を維持できるかまた改善できるかも問われている。一方、残さ原料を使用した飼料製造も認証機関によりトレーサビリティを求められている。飼料会社は以上のような重要で困難な状況に直面しているのである。こうした事例研究より、水産養殖の経営学的研究が従来の経営学におけるパラダイムシフトにつがなることを提起した。つまり、自然に大きく依存する水産養殖では、今まで追究されてきた経営学での利益増大ではなく、限りある資源を持続的に効率よく活用していく利益継続へのパラダイムシフトが重要である。 次に、企業による環境資源使用の効率化へのパラダイムシフトは、SDGsの「14: 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」が密接に関係していることを明らかにした。企業がこれから事業を継続していくために必要となるのが、経済、社会、環境を見据えたうえで長期的な視点で経営をしていかなければならない。さらに、大企業から中小企業までバリューチェーンにおける取引先企業にもSDGsが求められるのである。企業は、こうした視点に立って新たな価値基準として、「海の健康を守るためのサステナブルモデル」を追究していくべきであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本務校の方針として、新型コロナウイルス感染拡大によって海外調査はもちろんのこと国内調査でも県外移動に制約がかかり、現場へのフィールドワークができなかった。 また地方の研究対象企業からもインタビュー調査など断られたため、研究調査の機会を失うことになり、一部の定性的データが揃わなかったり、二次データにはない対象企業の一次データの入手が困難となったりした。 したがって、想定していた研究論文の作成については現在執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、今まで実施してきたインタビュー調査による4つの学会発表をもとに、事例研究を深める。現在のところ、自然環境からの影響を受けず、また環境への負荷を最小限に留める、陸上養殖を試みている企業を対象に海面養殖との対比で陸上養殖を探索する。同時に、世界的に需要が旺盛なサーモン市場のグローバル展開の可能性を追究する。そして、事例研究を通じて導出されたビジネスモデルのプロトタイプをいくつか構築し、精緻化していく。それには、積極的に学会に参加し、研究者や実務家との意見交換を行い、モデルの精緻化を進める。 新型コロナウイルスが収束した場合には、海外調査を実施し、ポテンシャル企業に訪問してインタビュー調査を行い、海外の事例研究を行う。研究合宿を実施して、インタビュー調査の結果を分析する。 万が一、新型コロナウイルスのまん延により、Face to Faceのインタビュー調査が困難になった場合、オンラインで実施できるよう、対象企業と調整し、研究を遂行する。
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