2018 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマンケアにおける包括的重層的スーパービジョンシステムの構築に関する研究
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18H00954
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
田中 千枝子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40276861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 みほ 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (20319304)
二本柳 覚 日本福祉大学, スーパービジョン研究センター, 研究員 (30570725)
鈴木 俊文 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 准教授 (60566066)
野村 豊子 日本福祉大学, スーパービジョン研究センター, 研究フェロー (70305275)
保正 友子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (80299859)
塩満 卓 佛教大学, 社会福祉学部, 講師 (80445973)
大谷 京子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (90434612)
坂野 剛崇 関西国際大学, 人間科学部, 教授 (90735218)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒューマンケア / スーパービジョン / システム構築 / ソーシャルワーク / ケアマネジメント / 臨床心理 / ケアワーク / 海外事情 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒューマンケアの人材養成に有効なスーパービジョン(以下SV)理論化に向け、各領域(ソーシャルワーク・ケアワーク・ケアマネジメント・臨床心理)と国際比較のアプローチによって、さらにサービスの質であるA)構造、B)経過、C)評価の柱で、実態と課題を抽出することを目的とした。 ①ソーシャルワーク班では、A)SV体制の構造の枠組みについて、スーパーバイザーへのSVメンターシステムに着目し、教授方法のプログラム開発と変容プロセスを分析した。B)SVプロセスとアセスメントスキルの関係性を整理した。またPSWのSV資格者に対するヒヤリングにより意識変容プロセスを探索した。C)SVの効果測定に資するソーシャルワーカーの実践能力指標開発のため予備調査を行なったうえMSWとPSW 1,500人を対象に郵送調査を実施した。②ケアワーク班では、A)介護福祉士のキャリア形成における実務環境とSV体制の在り方について質的に考察し、B)キャリア形成過程のパターンモデルを抽出した。C)キャリア形成に効果あるSVの在り方を検討し、新介護福祉士養成教育プログラムに、SVの果たす役割について挿入・記述した。 ③ケアマネジメント班では、主任制度がSVで果たす役割や効果について基礎的情報を得るため1,025件の事業所等に郵送調査を実施した。④臨床心理班では、A)大学院の心理専門職のキャリア形成教育におけるSVの在り方について考察することを目的に、大学院生3名に対して、B)SVプロセス、C)SV評価に関する意識変容について質的調査を行った。⑤国際比較班では、海外におけるSVの実情と課題に対し対象となる諸外国を抽出し、今年度はとくに英国におけるソーシャルワークSVの実践と理論に関し、論者Jワナコットへの訪問調査およびモリソン等の文献探索し、また英国のソーシャルワーク経験のあるゲストを研究会に招き、その業務のあり様を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学内および学外の研究者8名に対し、日本福祉大学スーパービジョン研究センターを拠点として、定期的に各研究の進展状況を報告しあう研究会や検討会を頻繁に行っている。領域ごとに内実が異なる中で、SVの実態把握とその共通の要素の解明に努めた。そのために各班の研究を、対人サービスの3要素として、A)構造、B)経過、C)評価の軸を採用し、お互いの研究を重ねてみていく中でSVの理論化にいたる全体像がみえてきた。 しかし研究1年目ということもあり、全体の軸に、自分の領域の研究がまとまらず方向性の設定に苦労する事態も生じたが、全体で3つの軸に位置付けたうえでの研究の方向性と調査データの相互分析に時間をかけたことの意味は、今後効果を表すと考えている。 またソーシャルワーク、ケアワーク、ケアマネジメント、臨床心理の各研究班・グループは専門職団体とのコラボレーションとして理論と実践の良循環による研究を心がけており、ヒヤリング調査の結果を、各団体のSV研修プログラムに活かし、その実施の評価をえることで、さらに研究を進める原動力となっている。 今期ケアワーク班のSV研究が、研究分担者の他機関への転出で終了となるが、その研究成果は新介護福祉士養成テキストの中に、SVの必要性とやり方について明記され、研究成果を入れ込んだことで臨床現場への貢献という意味で結実したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①本研究の枠組みを認可された研究範囲において、再確認・整理を行う。ヒューマンケアの各領域のSV研究をドナペディアンによるヒューマンサービスの構成要素である、A)構造、B)経過、C)評価の柱に分け、それぞれの研究の現状把握とその特徴分析をそろえるように働きかける。各領域・班に対して、この3要素でSV研究全体を整理することによって、分析に複眼的重層的視点が届くように提示する。そのことによってSVの理論研究として、研究全体のまとまりが出てくる。 ②研究拠点としての日本福祉大学スーパービジョン研究センターの運営を強化する。各班ごとまたメンバーによるコラボ研究会・全体会・研究成果報告会開催など、定期的な研究会やゲストを招いての勉強会、学内外を問わず班やグループのメンバーたちが重なり合いながら交流する場と機会を設定し交流促進をすることで、研究としての方向性や得られた知見の集約をよりしやすくする。 ③各領域・班ごとにSVの実態が多様であることを踏まえて、各専門職団体や教育機関、NPO団体等との間で、研究と実践の良循環を繰り返し、お互いに認識を深めながら、研修プログラム等を開発しながら、他の班から気付かなかった点について指摘を受けたりすることで、自らの班研究に新しいヒントが得られるようにしていく。また権利擁護研究会など日本福祉大学・および大学院における他の研究会や研究ネットワークとも交流し、研究者同士の意見交換等を頻繁に行えるようにする。 ④各班ごとに得られた知見を学会発表するだけでなく、連携協力している専門職団体等への知見の報告や成果の普及を目指し、出版や研修会プログラムに乗せるための試みを働きかけていく。出版助成の制度への応募なども今後促進していく。
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Research Products
(11 results)
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[Book] 人間の理解2019
Author(s)
介護福祉士養成講座編集委員会、鈴木俊文
Total Pages
292
Publisher
中央法規出版
ISBN
978-4-8058-5761-8
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