2018 Fiscal Year Annual Research Report
講和期の政治的葛藤が日本教職員組合の平和運動・平和教育に与えた影響の考察
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18H00988
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
布村 育子 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (70438901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 徹 日本大学, 通信教育部, 教授 (90297755)
太田 拓紀 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30555298)
神代 健彦 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (50727675)
冨士原 雅弘 日本大学, 国際関係学部, 准教授 (30339238)
宇内 一文 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (60546266)
岩田 考 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (60441101)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教職員組合 / 平和運動 / 平和教育 / 講和 / 知識人 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の実施計画は「研究に使用する基礎資料を利用可能にする作業に重点を置く」というものであった。具体的には(1)教職員組合の内部史料(婦人部資料の一部・平和史料等)の整理・デジタル化、(2)教職員組合の所蔵する中執会議記録の中の速記記録(130枚)の整理と解読(日本速記協会に依頼)、(3)単組の所蔵史料調査(神奈川・大阪)、(4)幅広い文献の収集・検討と予備的なデータ分析であった。以下に研究実績をまとめた。 (1)未整理の史料の整理を進めながら、順次業者に委託してデジタル化を進めた。これらの内部史料は、今後の研究の進展には欠かせない史料であった。現在、データ化された史料等を整理する作業を開始している。(2)速記史料が中根式で書かれていることは判明していたため、日本速記協会の関係者に解読を依頼し、予定通り実施することができた。解読作業のためには2度の合宿を行い、解読者同士の慎重な議論を踏まえて、解読結果を確定させるという方法をとった。速記史料の解読は、解読できる専門家が減少している現在、数年後には解読作業が困難になる史料であり、貴重な史料をデータ化することができた。(3)調査の計画を夏季に実施予定であった合宿において進める予定であったが、台風の影響で合宿自体を中止せざるを得ず、進展させることができなかった。しかし、各メンバーが個別に各探索は続けている。2019年度には調査を行う予定である。(4)各メンバーが個別に探索を続けた。平和運動、平和教育については、そもそも学問的に体系化された文献等がなく、諸機関、団体、協会等が行って来た平和運動、平和教育を整理する必要があるため2019年度以降も継続して文献を収拾する予定である。 なお、各グループの研究成果については、日本教育学会、教育史学会などにおいて報告を行った。学会発表をふまえて論文化に向けた打ち合わせも行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始初年度の研究は、おおむね順調に進呈している。初年度に予定していた基礎資料の収拾を終え、現在はその整理に着手している。ただし、研究の過程で、単組の聞き取り調査及び史料収拾が予定通りにはできなかった。これは日本教職員組合の所蔵史料が、膨大であったことと、速記史料の解読に多くの時間等を費やしたためである。2019年度は、史料収拾の積み残しを課題とし、研究計画を立てている。 なお、本研究では、グループをつくり、そのグループごとに研究を進めてきた。初年度「A:組織内外分析グループ」は、総評と日教組の関係に着目し研究を進め、その成果を学会で発表することができた。「B:学者・知識人・民間団体分析グループ」は、主としていわゆる進歩的知識人と呼称された学者、平和問題談話会等で発言していた学者の言説等の分析を行った。この成果は論文化されている。「C:教育実践分析グループ」は、第6回までの日教組全国教研や各単組の大会で報告された平和教育の実践について研究を進めた。全国教研の分科会で議論されていた実践と、日教組中央執行部の平和教育の方針との比較を中心に掘り下げ、学会発表後現在、論文化の予定である。 こうした各グループの研究をまとめ、整理するために、夏に合宿を開催する予定であったが、悪天候の影響で中止とせざるを得なかった。しかし、その後3度の研究打ち合わせを行い、各グループから得られた知見を相互につき合わせる作業を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時に立てた2019年度の研究計画に沿って研究を続ける。具体的には、(1)日本教職員組合の内部史料料の整理・デジタル化、(2)単組の所蔵史料調査と整理・デジタル化、(3))古書・史料の体系的収集・検討が本年度の主たる研究活動となる。また、2018年度に積み残した単組のヒアリング調査及び史料収拾も本年度中に実施予定である。現在、各関係者に連絡をとり、計画を立てているところである。基礎資料の収拾や整理といった全体で行う研究の他に、各グループの計画は以下の通りである。 「A:組織内外分析グループ」は、総評―社会党―知識人を軸にした平和四原則の分析を開始する。その際、Bグループの研究から得た知見を共有しつつ進める。この成果については学会で発表する予定である。 「B:学者・知識人・民間団体分析グループ」は、平問題談話会、平和問題懇談会の声明等を中心に、いわゆる進歩的知識人と呼称された学者の言説を個別に分析して行く。この成果については、Aグループとも知見を共有し研究を進める。研究成果は学会で発表予定である。 「C:教育実践分析グループ」は、前年度同様、日教組全国教研や各単組の大会で報告された平和教育の実践について研究を進めていく。その際、全国教研の分科会のレポート及び、各単組の県大会で議論された実践レポートを主として分析対象とする。レポートは膨大にあり、それらの分析は現在のメンバーだけでは不足する為、テキスト化や整理作業を一部業者に委託し、短期のアルバイト等を雇用しながら進めて行く。 各グループの研究をまとめ、整理するために、夏に合宿を開催する予定である。さらに、年間3度の毛旧打合せを計画している。
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Research Products
(12 results)