2019 Fiscal Year Annual Research Report
生物育成教育の教科内容構成に基づく授業実践モデルの構築
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18H01008
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
荒木 祐二 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (00533986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 貴志 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10370850)
谷田 親彦 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20374811)
山崎 淳 北里大学, 獣医学部, 准教授 (60200648)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物育成教育 / 中学校技術科 / 授業実践 / 教科内容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,教科内容学的アプローチにより生物育成の教科内容構成に基づいた授業実践モデルを考案し,中学校技術科の現職教員がそのモデルを体現して実用性を検証した上で,生物育成の指導に活用できる教員向けガイドラインを提示することである。授業実践モデルは,教育現場の実態を把握して実践に向けた課題を顕在化するとともに,新学習指導要領と教科書の分析をとおして教育現場に即した内容にする。農林水産に関する教育分野に造詣の深い研究者と教育者が一堂に会し,学術的な視点に加えて教育現場の意見を積極的に取り入れることで,生物育成の指導内容を定着させる道筋がより客観的に定められる。 2019年度は,前回の科研で提示した「理論」としての生物育成の教科内容構成について「教育実践」の視点から新たに検証し,学校教員が体現可能な授業実践モデルの構築を試みた。2018年度の成果を基に既存の教科内容構成を教育実践の立場から検証し,生物育成全体の目標を定めて学習のねらいを明確にし,指導項目とその配列,実践に即した教材開発,留意事項を含めた授業実践モデルについて研究分担者ならびに研究協力者と議論した。その議論においては広い地域性を考慮した汎用性の高い授業実践モデルの最適化をめざし,モデルの画一化を図らないよう留意した。また,新学習指導要領にて必修化される「動物の飼育」と「水産生物の栽培」に関する授業実践モデルは,一刻も早い提案が望まれることから優先的に手掛けた。「水産生物の栽培」に関する授業実践モデルについては論文を発表した。その他の授業実践モデルも手掛けている。モデル開発と授業実践には多くの試行錯誤を必要とするため,適宜,現職教員や大学院生の研究協力者を増やして作業や実践が円滑に行えるよう配慮するとともに,関連学会の専門家からも助言を仰ぐようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の成果を基に既存の教科内容構成を教育実践の立場から検証し,生物育成全体の目標を定めて学習のねらいを明確にし,指導項目とその配列,実践に即した教材開発,留意事項を含めた授業実践モデルについて研究分担者ならびに研究協力者と議論した。新学習指導要領にて必修化される「動物の飼育」と「水産生物の栽培」に関する授業実践モデルは,一刻も早い提案が望まれることから優先的に手掛けた。「水産生物の栽培」に関する授業実践モデルについては論文化した。その他の授業実践モデルについては審議を継続している。これには新型コロナウィルスの感染拡大が影響している。2020年3月以降は見通しがまったく立たなくなり,とりわけ学校教員と連絡をとるのが困難になった。 一方で,生徒の生物育成にかかわる経験・知識・意識に関する全国アンケート調査を実施できた。このアンケート結果により,とくに「動物の飼育」と「水産生物の栽培」に関する生徒のレディネスが把握でき,授業実践モデルにおける教員の発問の根拠が示された。 以上,授業実践モデルが構築途中である一方で,生徒理解の把握が想定以上に進んだことから,おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
未完の授業実践モデルから着手する。具体的には,2018年度の成果を基に既存の教科内容構成を教育実践の立場から検証し,生物育成全体の目標を定めて学習のねらいを明確にし,指導項目とその配列,実践に即した教材開発,留意事項を含めた授業実践モデルについて全員で議論する。その議論においては広い地域性を考慮した汎用性の高い授業実践モデルの最適化をめざし,モデルの画一化を図らないよう留意する。 そのうえで,考案された授業実践モデルを中学校技術科教員が実際に体現した授業を評価し,改善を重ねた上で教員向けのガイドラインを作成する。授業実践は中学校協力校にて現職教員の研究協力者が行い,開発した教材等を用いて授業実践モデルのとおり実施する。この際,教科内容の系統性や原理を考慮した年間の授業計画を立て,一時間ごとの指導案や教材をきめ細かに作成しておく。授業後には生徒の理解度を調査し,本研究で提案されたモデルの妥当性について評価する。その成果を基に,申請者と研究分担者で教員向けガイドラインのたたき台を作成し,研究協力者との胸襟を開いた意見交換を通じて実用的価値の高い資料に仕上げる。 本研究では教育現場の協力が欠かせない。新型コロナウィルスの感染拡大予防に努めつつ,オンライン会議などを活用して研究を進展させたい。
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Research Products
(14 results)