2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research for the Japanese model of inclusive education curriculum development with "school subjects for the student with intellectual and developmental disabilities"
Project/Area Number |
18H01037
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
米田 宏樹 筑波大学, 人間系, 准教授 (50292462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 慎治 筑波大学, 人間系, 准教授 (40334023)
宮内 久絵 筑波大学, 人間系, 助教 (40530986)
細川 かおり 千葉大学, 教育学部, 教授 (50259199)
涌井 恵 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, インクルーシブ教育システム推進センター, 主任研究員 (80332170)
小林 秀之 筑波大学, 人間系, 准教授 (90294496)
左藤 敦子 筑波大学, 人間系, 准教授 (90503699)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インクルージョン / 知的障害教育カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
知的障害教育カリキュラム論史:1930年代~1940年代の米国ニューヨーク市公立学校におけるハイスクール教育への知的障害教育の試行・導入過程の検討では、「不適応」「非行」の生徒の問題との関連もあり、1930年代までに義務就学年限を超えた生徒を含む年長の生徒が増加し、アカデミックな教科学習を中心とする従来のハイスクール教育の実施が困難になったことから、カリキュラムを彼らに合わせて修正すべきとの主張が生じたことがわかった。知的障害教育の側でも、特別学級の生徒が窃盗罪で逮捕された後、職業訓練校で学習にやりがいを見出し適応できた例が示され、1940年代に入るとハイスクールはアカデミックな教科学習の成果が上がらない生徒に卒業証書を与えるプログラムを開始し、正式にハイスクール内に知的障害学級を開設するに至った。ここではアカデミック教科の補習教育的な内容は不適切とされ、精神遅滞学級入級から卒業までの一貫した職業コアカリキュラムの開発と実践がなされた。このほか、中国の知的障害教育カリキュラム論の展開の検討も行った。日本の実践史に関する資料の収集も行った。 日本の学校における知的障害教育実践の実態:知的障害特別支援学校及び特別支援学級における知的障害教育教科による授業実践の実際について、質問紙調査と事例から検討した。社会・集団適応上の課題を有する児童生徒にとっては集団のダイナミクスを活用した主体的な学びが必要であり、個人差の大きな集団による学習が展開される。この場合、「共通の活動題材」の選定とそれに基づく各教科の評価が重要であることが示唆された。特別支援学校の教育課程編成の実態としては、高等部単独校(高等特別支援を含む)においては知的障害教科別の授業に重点を置いた教育課程編成への指向が示唆された。継続的社会参加力を培う系統的なキャリア教育には、生きがいや自己調整の指導の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外のカリキュラム論史の資料収集・分析と知的障害教育の現状や実践上の課題を把握するための調査が実施できたことから上記判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、知的障害教育カリキュラム論史のまとめとして、日本のカリキュラム論史を見直すとともに、各国のカリキュラム論史と対照しながら、インクルーシブ教育カリキュラムにおける知的障害教科による教育課程の編成と指導の位置づけを考察する。 学校における教育の実際に関する調査は、コロナ禍以降の教員の業務量増加ならびに働き方改革の動向によって、協力をえることが困難な状況が続いていることから、調査に加えて、あるいは、調査票の記入に替えて学校の既存の資料を分析に用いることや、学校研修等への研究代表者・分担者の参加協力時に学校等の了解を得て補足的な情報収集を行うことなどを検討する。
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Research Products
(15 results)