2020 Fiscal Year Annual Research Report
現場で実践される集団の児に対する外的刺激のインタラクション評価と発達障害推定法
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18H01041
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
島谷 康司 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (00433384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 圭介 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50649754)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達障がい / 行動特性 / 集団 / インタラクション / アテンションテスト / 外部刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
養育者は,実践現場において集団内の複数児に様々な指示や問いかけなどを与え,児と養育者の相互インタラクションを行う。その過程で発達障害のリスクを有する児を経験的に発見し,幼児の行動特性に考慮した対応を行っている。しかし,その対応を見誤ると発達障害児や発達の気になる子の行動特性がさらに強化される場合も少なくないことから,実践現場の幼児の外的刺激に対する行動変容(振る舞いの変化)の定量化が必要不可欠であると感じた。一方,発達障害領域で頻繁に使用される評価バッテリーは観察評価や質問評価が多くの割合を占め,評価バッテリーごとにその内容や評価尺度も異なる。 本年度の研究では,外的刺激を考慮した集団内の幼児行動変容のマーカーレス動画像解析方法の構築し,発達障害児の行動変容を表現する確率的状態遷移モデルの確立と実践現場における発達しょうがい児群の行動評価を行うことである。 令和元年(2019年度)までの結果では,定型発達児群と比較して,発達障がい児群は多動的でインタラクションが少ない傾向にあることが定量的に評価できた。また,発達障がい児群内での逸脱距離が大きかった群については,独自に開発した視線追従のアテンションテストにおいても他の幼児よりも多動傾向が現れており,集団における発達障がい児の行動特性についても個別評価できる可能性が示唆された。本年度(令和2年度,2020年度)は発達障害児の集団行動評価が新型コロナウイルス感染症のために実験が不可となった。しかし,行動規範指示に対する児の行動変容評価法の確立実験については,実験室内での健常児の行動特性(個別)の計測・解析は実施し,単独の児の行動規範指示に対する行動変容システムを構築した。今後,令和2年度に行う予定であったD3Indexの作成および集団行動内の幼児の行動規範指示(外部刺激)に対する行動変容を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度(2019年度)までに,発達障がい児の行動変容を表現する確率的状態遷移モデルの確立と発達障がい児群の行動評価法を構築し、。複数台のカメラを用いて幼児41名の集団行動を計測し,遊び状態を推定するとともに,確率的ペトリネットモデルに基づき遊び状態の遷移やインタラクション状態などを検証し,定型発達児群の行動から逸脱する児を検出でき,医師の診断や保育士の知見と一致することを示した。 本研究は概ね予定通りに進んでいたが,令和2年度(2020年度)はコロナ感染症のために発達障害児の行動計測ができず,予定していた「新しい識別/推定モデルを構築」が行えなかった。そのため,発達障害を有する可能性を確率として算出して発達障害評価インデックス(D3Index)の作成および発達障害児のスクリーニング方法の提案はできていない。しかしながら,行動規範指示に対する児の行動変容評価法の確立実験については,実験室内での健常児の行動特性(個別)の計測・解析は実施し,集団評価が可能となった時点で発達障害児の行動計測・解析を行う準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度(2021年度)は,令和2年度(2020年度)に予定していた発達障害を有する可能性を確率として算出して発達障害評価インデックス(D3Index)の作成および発達障害児のスクリーニング方法の提案をするために,まずは「新しい識別/推定モデルを構築」をする。D3Indexを構築するためのデータ収集として,発達障害児を含む幼児の集団行動を計測・解析する。また,行動規範指示に対する児の行動変容評価法の確立のための発達障害児の集団行動計測・解析の準備も整っている。遂行上の問題点として,新型コロナウイルス感染症による幼児施設での実験受け入れ不可が挙げられる。
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