2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive search for anisotropy in the speed of light using an optical ring cavity
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18H01224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道村 唯太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (80747006)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ローレンツ不変性 / 異方性 / 光共振器 / 標準理論 / 相対性理論 / 干渉計 / レーザー / 対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では2つの非対称光リング共振器を用いて、回転させながらその共振周波数差を測定することで、世界最高精度での光速の異方性探査を行う。光速の異方性探査は、光子のローレンツ不変性の破れ探査に相当する。ローレンツ不変性は全ての物理学の基礎となっているが、統一理論に向けた理論的研究や宇宙観測から破れの可能性が示唆されている。これまでの光速の異方性探査は直交方向で往復する光速の差を測定する実験と光速の行き帰りの差を測定する実験に分かれていたが、本研究では両者の手法を組み合わせることにより世界初の全成分探査を行う。 我々はこれまで、試作機を用いて光速の行き帰りの差に対しては世界最高精度となる6×10^{-15}の上限値を得ている。現在の精度は装置の回転に伴う雑音に制限されており、精度向上のためには振動感度が低い光学系の開発と振動の少ない回転台の開発が必要である。2019年度は、これまで開発してきた、振動感度の低いモノリシック光学系を大型化した回転台の上に載せ、初の統合試験を行った。新しい回転台では、電源供給と回転ステージを一体化することで、一方向の安定な連続回転を実現した。回転台の上に電源系、レーザー光源、光学系、制御系、データ取得系を固定する構造を製作した。 静止時と回転時の雑音レベルを比較したところ、ほぼ変わらない感度を得ることに成功した。フロアレベルとしては、回転周波数である0.1 Hzで4e-13 /rtHz程度の相対周波数感度を得た。これはこれまでの回転時の雑音レベルと比べ、2桁近く小さい。一方で、回転に同期した雑音が確認され、0.1 Hzで5e-12 /rtHz程度の高さを持つ雑音ピークがあった。今のところこのピークの原因は突き止められていないが、レーザー光の偏波面回転や光強度変化、散乱光などが原因として考えられる。今後はファイバ光学系の改良や、散乱光対策などを進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の当初の目的であった、光学系と回転台の統合試験を行うことができ、すでに先行研究を上回る性能を達成することができた。回転に同期する雑音の低減を進めなければならないものの、観測運転に向けて順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、2020年度は雑音の低減を行っていく。回転に同期する雑音が十分小さくなり次第、観測運転を開始する。
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