2019 Fiscal Year Annual Research Report
Sub-parsec structure of ISM revealed by the AKARI all-sky atlas and star-formation activities
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18H01250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 靖生 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (70292844)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 星間フィラメント構造 / 星 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続き、ペルセウス座分子雲中の星形成領域NGC1333のフィラメント構造と星間磁場の関係について、解析を進めた。星形成領域内で、星間磁場が個々のフィラメントに対し一様な相対角で分布する様子を明らかにした。この分布は、フィラメントと磁場とが互いに垂直な関係を保ちつつ、各フィラメントが観測者に対しそれぞれ異なった見込み角で分布すると考えると良く説明される。これらの内容を現在投稿論文にまとめた。(その後2020年7月に出版された。) また、フィラメントとその周囲の磁場構造との関係に加え、フィラメント内部の磁場構造を解明することを試みた。フィラメント内部の磁場構造については、これまでその詳細を明らかにした例は存在しない。我々の観測したデータを分析し、我々はダストの偏光輻射によりトレースされるフィラメント構造が、ダストの全輻射で見たフィラメント構造よりも細くなる傾向を明らかにした。ここから以下の事実が明らかとなる。 1. 濃いフィラメント中では一般にダスト輻射の偏光度は低下する。これは主に濃い分子雲中で外部の星からの輻射が遮蔽されることにより、分子雲中のダストの整列度が低下するためと解釈された来た。しかしながら我々の観測結果から、濃い分子雲中でもダストは良く整列していることが示唆される。 2. フィラメント形成時の物質収縮時に周囲の磁場がフィラメント中心部へ向けて引き込まれると、磁場はフィラメントに対しピンチ構造を持つと期待される(Tomisaka 2015)。我々の観測した細い偏光輻射フィラメントは、このピンチ構造の磁場を斜め方向から観測したとすると良く説明出来る。 Tomisaka(2015)の物理モデルと我々の観測結果を比較することで、フィラメント内の物質分布と磁場強度に具体的な制限を付けられる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィラメント構造と磁場との比較により、フィラメント構造形成に関する理解が大きく進んだ。この点については当初の計画よりも大幅に進展していると言える。一方で「あかり」の広域観測データから求められるフィラメント構造の大局分布やその磁場との関わり、時間発展などの議論はまだこれからであり、今後この点についても重点的に進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ペルセウス座領域のフィラメント内の磁場構造について、物理モデルと比較し、フィラメント内の物質分布や磁場強度についての制限を付けることを目指す。これはこれまで明らかとなっていないフィラメント形成時に於ける磁場の果たし得る役割について直接の制限を付ける重要な研究となる可能性がある。 更にはペルセウス座分子雲周囲のより密度の低い星間ガス中の磁場構造について、可視偏光データとPlanck偏光データとの比較により明らかにし、低密度領域から高密度領域に至る磁場構造の発展を統一的に明らかにする。 ペルセウス座に加え、牡牛座分子雲等の近傍分子雲のフィラメント構造の特性を「あかり」データと他のカタログデータとの比較から明らかにし、我々がペルセウス座分子雲について得た知見の一般性を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(18 results)