2020 Fiscal Year Annual Research Report
Sub-parsec structure of ISM revealed by the AKARI all-sky atlas and star-formation activities
Project/Area Number |
18H01250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 靖生 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (70292844)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 星間フ ィ ラ メ ン ト 構造 / 星間磁場三次元構造 / 星間物質三次元構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究成果である、ペルセウス座分子雲中の星形成領域NGC1333のフィラメント構造と星間磁場の関係について、論文の執筆・投稿を行った。 引き続きペルセウス座分子雲方向の可視偏光観測の文献データを再解析し、ペルセウス座分子雲、及び手前側に分布する牡牛座分子雲に付随する磁場の三次元構造を明らかにした。ペルセウス座分子雲方向の可視偏光観測から知れる磁場構造は、互いに垂直な2方向の成分が空間的に混ざり合って存在し、その複雑な磁場構造の起源については、観測データの出版された1990年以来、長年にわたり議論されるも明らかとなっていなかった。我々はこの文献データを、位置天文衛星Gaiaの測定した各々の星までの距離と比較し、2成分の磁場構造が、それぞれ距離300パーセクに位置するペルセウス座分子雲、及び手前の距離150バーセクに薄く存在する牡牛座分子雲の外縁の雲の、それぞれに付随する向きの揃った、互いにほぼ90°異なる磁場構造を観測していることを明らかにした。更にGaiaの星間減光データを解析し、ペルセウス座分子雲と牡牛座分子雲の間に存在する、我々からの距離240パーセク、直径約100-160パーセクの楕円形の星間物質の空洞(ダストキャビティ)が存在することを初めて明らかにした。上記垂直に交わる2成分の磁場構造は、それぞれこのダストキャビティの手前側、及び奥側の磁場構造を示している。これは100パーセク以上の大きな空間スケールでの星間磁場の三次元構造を観測的に明らかにした、初の例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究成果である、ペルセウス座分子雲中の星形成領域NGC1333のフィラメント構造と星間磁場の関係と、本年度の研究成果であるダストキャビティに付随する星間磁場構造の解明とを合せ、星間物質構造と付随する星間磁場の三次元分布について、星間物質フィラメントの0.1パーセク~数パーセクスケールから、星間物質ダストキャビティの100パーセク超のスケールまで、空間的に様々なスケールにまたがって観測的に明らかにした。これは今まで観測的には捉えられていない構造を明確に明らかにした点で、非常に画期的な成果と言える。現状ではペルセウス座分子雲-牡牛座分子雲方向の限られた領域についての成果であるが、この手法を援用し、今後様々な領域に応用することで、多くの領域の三次元磁場・星間物質分布とそれぞれの密接な関わりを詳細に明らかに出来る可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの成果を引き継ぎ、星間物質フィラメント構造に付随する磁場について、特にそのフィラメント内部に於ける構造の定量的理解へ向けて、観測データの解析、及びモデルとの比較を行う。また星間物質と星間磁場の大局的な三次元構造を解明した本年度の成果を引き継ぎ、その手法を他の領域に援用することで、手法の有効性を示すと共に、星間物質・磁場構造の三次元構造の更なる理解につなげる。具体的には、銀河中心方向に見られる射手座銀河腕内部の磁場構造を、可視偏光観測を実施することで明らかにすることを目指す。
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Research Products
(18 results)