2019 Fiscal Year Annual Research Report
ガス惑星の大移動は生まれたてのS型小惑星を破壊したのか?
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18H01269
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮原 正明 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (90400241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
寺田 健太郎 大阪大学, 理学研究科, 教授 (20263668)
久保 友明 九州大学, 理学研究院, 教授 (40312540)
山口 亮 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (70321560)
関根 利守 大阪大学, 工学研究科, 招へい教授 (70343829)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 普通コンドライト / 高圧相 / 逆転移 / ウラン・鉛放射年代 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は30年度に引き続き1)普通コンドライト隕石中の高圧相の系統的調査結果の解析、2)普通コンドライト試料で起きたリングウッダイトとメジャーライトの逆転移現象の解明、3)普通コンドライトの衝撃銃実験回収試料の解析、4)ウラン・鉛放射年代測定法の確立に取り組んだ。 1)では、Hグループ普通コンドライト隕石はLとLLグループ普通コンドライトに比べ高圧相の存在頻度が低いことが判明した。高圧相を用いて衝撃圧を見積もったところ,LとLLグループ普通コンドライトでは岩石学タイプの増加に伴い衝撃圧も大きくなっていた。即ち,LとLLグループ普通コンドライト母天体では深部から表層に向かって記録された衝撃圧が弱くなっている。これは母天体表層の岩石がスポール破壊によって放出された可能性を示す。以上の結果をまとめ,論文執筆に取り組んだ。 2)では、リングウッダイトからオリビンへの逆転移は核形成・粒成長メカニズムで進む。一方、メジャーライトから輝石への逆転移は、メジャーライトが一旦ガラス化し、そのガラスから輝石が形成されることが判明し,これらの結果をまとめ,論文執筆に取り組んだ。さらにリングウッダイトからオリビンへの逆転移実験結果の解析を行い、逆転移カイネティクスデータを取得した。 3)では、昨年に引き続きH3とL3タイプ普通コンドライト隕石を15,25,35,40 GPaで撃ち、試料を回収・観察した。昨年回収した試料とともに断面の観察を行い,衝撃溶融が10 GPaで起きることとコンドリュールのアスペクト比が衝撃圧とともに変化することが確認できた。 4)では、アパタイトと炭酸塩岩を用いて、ウラン・鉛放射年代測定法の確立に向けた基礎実験に取り組んだ。また,1)で使用した普通コンドライトの中から年代測定に必要なリン酸塩鉱物の記載も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウラン・鉛放射年代測定の応用に若干の遅れがあるが概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度は、以下の1)~4)の課題を推進する。1)普通コンドライト隕石中の高圧相の系統的調査結果をまとめ論文投稿を行う。2)リングウッダイトとメジャーライトの逆転移メカニズムをまとめ論文投稿を行う。また,カイネティクスデータの解析を引き続き行う。3)衝撃銃実験回収試料の解析を行い,衝撃圧とコンドリュールの塑性変形や衝撃誘起溶融の相関関係を明らかにする。H/L/LL3普通コンドライト中の溶融組織の観察とコンドリュールのアスペクト比の測定を行う。4)ウラン・鉛放射年代測定法の確立に引き続き取り組むと同時に、1)の調査で得られた結果を基に、年代測定に呈する試料を抽出する。
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Research Products
(10 results)