2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of next generation membrane for potable water reuse
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18H01572
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤岡 貴浩 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (20759691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉谷 仁 鹿児島大学, 理工学域理学系, 助教 (30434468)
新谷 卓司 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命教授 (90607574)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 逆浸透膜 / ニトロソジメチルアミン / 再生水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微量有機化学物質の一つであるニトロソジメチルアミン(NDMA)が逆浸透膜でほとんど除去されず処理水中に水質基準以上のNDMAが残ってしまう課題に対し、世界最高のNDMA阻止性能を持つ逆浸透膜の開発を目指すことを最終目的としている。その開発を促進するため、平成30年度はNDMA阻止性能を決定づけている膜物性を明らかにすることを目的として以下の1~2を実施した。 1. NDMAと構造が類似した化学物質を使い、分離膜と化学物質の分子間相互作用の重要性を卓上膜ろ過試験と化学物質分析を通して検討した。その結果、分子ふるい機構の他、ポリアミド分離膜のアミド基とNDMAのニトロソ基間の水素結合の強さがNDMAの阻止率に大きな影響を与えることを明らかにした。この水素結合は、ポリビニルアルコールのコーティングを施した商用の逆浸透膜においても見られ、新しいコーティング等の開発の必要性が明らかになった。 2. 逆浸透膜では直接分析が難しい膜物性(空隙径分布、空隙率等)がありそれらがNDMAの阻止率に大きな影響を与えている可能性が高いため、逆浸透膜の空隙構造内におけるNDMA及び水分子の拡散挙動を分子シミュレーション技術を使って検討した。結果、NDMA分子に比べて水分子の方が膜構造により近く分布していることが分かった。また、分子の大きさが逆浸透膜の空隙内の拡散挙動に大きな影響を与えることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NDMAの阻止性能に影響を及ぼす膜物性を明らかにするデータが得られ、逆浸透膜の高阻止化を達成するためのアプローチを考案することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で明らかになった膜物性を集中的に変化させることで、「高NDMA阻止(阻止率94%以上)は達成可能か」という問いを明らかにする。具体的には、(a)逆浸透膜の空隙径を小さくする方法(熱処理やポリアミド膜材料の配合バランスを変えることで膜の網目構造をタイトにする等)、また(b)分離層の表面の物性を変化させる方法(新しいコーティング剤の開発)を実施し、高NDMA阻止率を達成する逆浸透膜を開発しようとする。
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