2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of next generation membrane for potable water reuse
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18H01572
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤岡 貴浩 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (20759691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉谷 仁 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (30434468)
新谷 卓司 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命教授 (90607574)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 逆浸透膜 / ニトロソジメチルアミン / 再生水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微量有機化学物質の一つであるニトロソジメチルアミン(NDMA)が逆浸透膜でほとんど除去されず処理水中に水質基準以上に残ってしまう課題に対し、世界最高のNDMA阻止性能を持つ逆浸透膜の開発を目指すことを最終目的としている。2018年度までの成果より分子ふるい機構がNDMA除去に重要であることが分かってきた。よって、2019年度はこの分子ふるい機構に変化を加えることで逆浸透膜の高NDMA阻止化を行うことを目的として、以下の1~2を実施した。 1. 逆浸透膜に熱処理を施して膜の空隙空間を縮小することにより、膜の高NDMA阻止化を目指した。異なる処理温度がNDMA阻止率に与える影響を調べた結果、温度に比例して阻止率が高まり、100℃の加熱処理によりNDMA阻止率が23%高くなることを明らかにした。さらに、熱処理中の処理pHがNDMA阻止率に与える影響を調べた結果、pHの値が小さいほどNDMA阻止率が向上することを明らかにした。全体として、NDMA阻止率の向上に伴って透水性能が低下するというトレードオフが起こることを明らかにした。 2. 逆浸透膜に化学物質を用いた閉塞処理を施して膜の空隙空間を縮小することにより、膜の高NDMA阻止化を目指した。異なる5種類のアミド化合物及びエポキシ化合物を用いて空隙閉塞処理した場合、NDMA阻止率への影響が低いことを明らかにした。一方、異なる4種のアミン化合物を用いて処理した場合、アミン化合物の分子量が大きくなるにつれてNDMA阻止率も向上することが分かった。NDMA阻止率が最も向上したデシルアミンは最小投影面積が23Å2であり、逆浸透膜の空隙径と近い。その結果、その他の低分子量アミン化合物に比べて空隙閉塞が起こりやすく、NDMA阻止率が高くなると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
逆浸透膜のNDMA阻止率を高める手法として熱処理と閉塞処理が候補になることが分かり、逆浸透膜の高阻止化を実証するための準備ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで改質により高阻止してきた逆浸透膜を活用し、実際の下水処理水を使って実証試験を行うことで、「新膜は飲用再利用に適した性能を持つか」という問いに答えようとする。具体的には、まず逆浸透膜実証試験装置と改質を行った膜エレメントを用いて下水処理場内で実下水を処理し、定期的に供給水とろ過水のサンプリング及びNDMA濃度分析を行うことで、NDMA阻止率と基本的な膜分離性能(透水性能、耐膜汚染性、塩阻止率、微生物除去率)を評価する。さらに、実証試験終了後の膜エレメントを解体し、その膜表面物性を分析・解析することで新たな膜改質方法を考案し、膜エレメントを再度製作して現地実証試験を行う。
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