2018 Fiscal Year Annual Research Report
社会的包摂プログラムを組み込んだ外国人集住地区再生手法の実態と日本への適用
Project/Area Number |
18H01601
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 さやか 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70422194)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正彦 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 准教授 (20345391)
小泉 秀樹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30256664)
窪田 亜矢 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (30323520)
瀬田 史彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50302790)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 住宅団地 / 外国人 / 移民 / 社会的包摂 / 団地再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)日本国内の外国人集住地区の抽出と実態把握:国勢調査小地域集計等を用いて、外国人率15%以上の小地域集計地区を全国で702地区抽出した。これらの地区について、住宅地図や航空写真などから地区の土地利用・市街地状況を確認・分類したところ、工場隣接地区、教育施設(留学生会館等)、駅前地区、住宅団地、外国人居留地、大使館・入管収容施設等に分類された。特に集住傾向が高い住宅団地に着目すると、全国で129団地・124小地域集計地区が抽出された。 2)外国人集住団地の実態分析:外国人集住が進む住宅団地の一部について、現地調査・管理主体へのインタビューなどを行い、集住の現状や課題を調査した。住宅団地への集住の背景として、民間住宅への入居審査の厳しさ、団地の空き家対策などが関連しており、一定程度の集住が進むと日本人居住者との生活様式の違いや言葉の壁による意思疎通の問題が顕在化すること、対策には多言語情報提供や相談といったソフト対策に加えて、外国人居住者向けの交流スペースの整備やごみ集積所の整備といったハードの対策の組み合わせが有効であることが分かった。 3)海外の動向調査:移民対策が進むドイツとカナダで事例調査を行った。ドイツでは、ノルトアリンヴェストファーレン州ドルトムント市ドルトムント・ノルト地区及びデュッセルドルフ市ホフフェルト地区の視察を行った。両地区とも長年移民が多い地区であるが、集積している移民の出身国・文化が大きく変遷してきており、近年は東欧やロマの移民が増加している。環境改善や住宅整備といったハードに加えて、子どもの教育を通じた家族全体へのアプローチに力を入れており、成果をあげつつある。カナダでは人口の50%以上が移民のバックグラウンドを持つトロント都市圏を対象に、生活支援から雇用支援までの包括的な支援の取り組みを視察し、ハードとソフトの取り組みの連携の重要性を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国勢調査小地域集計の分析から、外国人集住住宅団地のリスト化ができた。各団地の特徴などの情報も収集できており、次年度にはアンケート調査や現地調査を行う準備ができた。 ドイツ及びカナダの先進事例調査から、今後検討すべき取り組みの視点の整理ができた。 以上より、おおむね順調に進捗しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)外国人集住団地を対象としたアンケート調査の実施:本年度抽出した住宅団地を対象に、外国人集住の実態や課題、取り組み段階を整理するアンケート調査を行う。その結果を踏まえて、より具体的な実態調査を行う団地を選定する予定である。 2)外国人集住団地のケーススタディ:上記調査の結果を踏まえて、より詳細な団地の現状を把握するケーススタディを行う。研究期間中で3件程度、来年度は1-2件の調査を行う予定である。 3)ドイツ・カナダでの補足調査:日本の課題を踏まえたドイツ・カナダでの先進事例調査の補足を行う。日本の課題解決に参考となる取り組みについて詳細な調査を行う。 4)研究会や学会での調査結果報告:これまでの調査結果を積極的に周知し、関連する研究を行っている国内外の研究者との交流の機会を増やし、研究の充実を図る。
|