2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Maturing Process of Samurais' Dwelling Districts in Edo
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18H01614
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤川 昌樹 筑波大学, システム情報系, 教授 (90228974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 徹 山口大学, 教育学部, 教授 (90263748)
岩淵 令治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90300681)
渋谷 葉子 公益財団法人徳川黎明会, 徳川林政史研究所, 非常勤研究員 (70462257)
松山 恵 明治大学, 文学部, 専任准教授 (40401137)
岩本 馨 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (00432419)
加藤 悠希 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80790815)
増田 晴夫 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任助教 (20810964)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大名屋敷 / 武家屋敷 / 秩序形成 / 御府内沿革図書 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、江戸武家地の近世初期から中・後期への変容を、都市・建築空間の「成熟」の過程として捉え、個別の屋敷での空間の成熟が都市全体に波及し、膨大な数の屋敷の規模・位置が都市レベルで調整され、何らかの秩序を獲得したとの仮説を設定した。そして、屋敷絵図と文献史料を用いた建築空間レベルの通時的分析と、古地図と土地台帳を用いた幕末時点での都市空間レベルの共時的分析を関係づけつつ、この仮説の検証を行おうとするものである。 今年度は、①各研究者がそれぞれ藩政史料調査を実施するとともに、②「大名屋敷史料を読む会」を計8回開催し、毛利家文庫所蔵の「江戸御屋敷御書出」「桜田御普請諸沙汰控」の釈文を作成するとともに、③「御府内沿革図書」のGISデータ化を進める作業に注力し、各巻の「一円之図」をGISに取り込み、敷地毎にGIS上でのデータを付与し、現状地形に対応する当時の敷地のおおまかな分布を把握した。また、打合せ及び成果報告を兼ねた④研究会を2度(2018年6月及び2019年1月)実施した。 第1回目の研究会(於筑波大学東京キャンパス)では、高屋麻里子「「御府内往還其外沿革図書」のデジタル化とGIS利用の試みのこれまでの経緯について」、加藤悠希「豊後日出藩御茶屋襟江亭について」、岩本馨「明暦の大火と武家地」、増田晴夫「加賀藩江戸藩邸について」、稲垣智也「伊勢亀山藩石川家の江戸屋敷」、藤川昌樹「幕末期京都における大名屋敷の構成」の諸報告を得た。 第2回目の研究会(於九州大学大橋キャンパス)では高屋麻里子「江戸武家地GISデータベース構築の経過報告と今後の課題」、松山恵「明治初年東京の武家地関係史料について」、渋谷葉子「柳沢吉保と龍興寺」、佐藤陽子「小浜藩江戸屋敷の拝領過程」、岩淵令治「小浜藩酒井家墓所の変容」の諸報告を得るとともに、旧名護屋城趾及び陣屋跡の実地調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のとおり、藩政史料調査(岩国徴古館・岩国藩関係史料、東京都公文書館「適用留」「弁官御用留」ほか、九州歴史資料館・林(美)文書[福岡藩黒田家関連史料]、京都歴彩館・平和家文書、久留米市立中央図書館久留米藩有馬家文書、柳川古文書館・柳川藩立花家文書など)、8回の大名屋敷史料を読む会の開催、GISデータの入力、2度の研究会の開催と研究報告ができているため。 特に、GISデータの入力にあたっては、既存の主な復元図を現状地形との対応精度を確認しながらデジタル画像化し、GISで利用できるよう調整した。また、「御府内沿革図書」各巻の「一円之図」もGISで利用できるよう調整した。既存の復元図と「御府内沿革図書」の敷地毎にGISでの位置情報を付与し、おおまかな分布を把握するところまで出来たため、順調に進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の計画通り研究を進めたい。ただし、GISの入力作業により注力する必要があるので、これまで研究協力者だった高屋麻里子氏(滋賀県立大学)を新たに研究分担者として研究組織に追加するとともに、滋賀県立大学と筑波大学の両者で連携しながら入力を続けられるような体制を整えたい。
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Research Products
(11 results)