2018 Fiscal Year Annual Research Report
古代東アジアにおける建築技術体系・技術伝播の解明と日本建築の特質
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18H01618
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海野 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00568157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 暉 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, アソシエイトフェロー (30772751)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 古代東アジア / 造営体制 / 建築技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の前半は奈良文化財研究所にて、研究環境の整備につとめた。東アジアの建築及び発掘調査に関わる情報収集とともに、研究代表者自身も、平城宮跡の東院地区の発掘調査に従事し、奈良時代の炊事関連施設の構成や遺構を検討した。 発掘調査資料の収集に関しては、奈良文化財研究所の考古関連のつてにより、研究アシスタントを雇用し、古代日本の郡庁を中心とする地方の発掘遺構の情報収集を行った。建築技術に関する情報収集は古代建築を中心に、建設時の建築技術、その後の修理時の建築技術の2つが混在するため、両者の峻別をはかりつつ、平安時代以前の古建築を対象に、修理工事報告書から情報収集を進めた。 また現地調査に関しては、中国関係の古建築に関する情報収集を文献資料を通じて行い、福建省の華林寺他の調査を同済大学の研究者らの協力により、行った。同じく、2019年2月には台湾における研究状況の把握および、南部の建築技術の調査のため、台湾の古建築調査を行った。また東北地方を中心に、平安末期から中世前半期のの屋根発生前後の建築を調査し、屋根架構に関する情報収集を行った。 また2019年1月にはソウル景福宮内にて「古代東アジアの造営体制に関する学術会議」を開催し、日中韓の古代東アジアの造営体制について文献史料からわかる内容を討議した。これらの検討により、東アジアにおける技術伝播のキーとなる技術者の掌握方法について、三国間での研究の深度の状況比較が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究費の減額や研究代表者の異動にともなって、研究アシスタントの雇用や作業の進捗にやや乱れがある。いっぽうで予算の減額の程度に応じた進捗と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はソルボンヌ大の研究協力者のもとに赴き、アジア以外からの視点の可能性を模索する。同時に、木造建築遺産の技術の特性および継承のため、イコモスの木の委員会のシンポジウム(IIWC)に参加し、海外から見た日本の木造建築技術の特異性について、検討する予定である。 また中国天津大学にて、日中の積層建築の建築技術をテーマにした国際会議の開催を行いたいと考えている。
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Research Products
(16 results)