2019 Fiscal Year Annual Research Report
古代東アジアにおける建築技術体系・技術伝播の解明と日本建築の特質
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18H01618
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海野 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00568157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 暉 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, アソシエイトフェロー (30772751)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 古代建築 / 東アジア / 重層 / 楼閣 / 木材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は中国・日本の古代における重層建築を中心とする建築技術の伝播・描写に関して、中国独楽寺において、天津大学の研究者とともに国際研究集会を行った。また9月には研究協力者であるヨーロッパ研究者と意見交換を行い、ソルボンヌ大学にて、古代の日本建築に関する研究状況及び、考古学的成果による建築学的新展開に関する発表を行った。日欧比較のため、フランスにおける歴史的建造物の保存や継承の概念を調査すべく、研究協力者の助言をふまえ、南仏の歴史的建造物及び遺跡の現存状況・現存建築の調査を行った。 また同じく木造建築の技術を世界的に検討しているIWWCのシンポジウムへの参加・発表を行った。ここでは木造建築の修理技術の情報収集などを通して、日本建築の特質に関する理解と国際的な意義を明らかにした。とくに日本における古代からの木材確保の方法や現代の課題である修理用の木材の確保について、東大寺大仏殿や伊勢神宮、姫路城の事例を通して、国際的に発信を行った。 同時に大学院生をアルバイトとして雇用し、主に日本と中国における古代の建築技術の細部に関する情報の蓄積を継続しておこない、修理に関する技術や社会的な枠組みに関しても視野に入れ、情報を蓄積した。主に奈良時代の建築技術の集積に努め、図面のスキャン・修理工事報告書の精査による情報収集をすすめた。 また日本国内の近世以前の木造建築の現地調査をおこない、建築技術・採材・樹種使用などの面から情報の蓄積を図った。特に本研究室に所蔵されている図面類をデジタル化することで、今後の研究に利用しやすい環境整備をおこなった。 併せてこれまでに調査し、データで保存していた中国・日本の歴史的建造物調査の写真類を出力し、アルバム化することで整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により、2020年3月に予定していた中国調査を行うことができなかったが、それ以前には中国における調査や国際研究集会の開催をすることができたため、全体としてはおおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍における中国の現地調査が行えないという課題があるが、当研究室に在室する中国人研究者の協力(謝金作業)により、日本国内で入手できる中国関連史料の収集に努めており、13世紀以前の中国木造建築に関する情報の蓄積を進める予定である。 今後、現地調査が可能になり次第、現地に赴いて歴史的建造物の調査をおこなうとともに、国際研究集会を開催し、古代における東アジアの建築技術の伝播および日本建築の特質について明らかにする予定である。
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