2020 Fiscal Year Annual Research Report
古代東アジアにおける建築技術体系・技術伝播の解明と日本建築の特質
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18H01618
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海野 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00568157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 暉 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, アソシエイトフェロー (30772751)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東アジア / 建築技術 / 工匠 / 貫 |
Outline of Annual Research Achievements |
古代の日本建築には宮殿・官衙・寺院建築などの高級技術と倉庫や高床式住居などの普及技術の2系統の存在したことが、現存建築・文献史料・発掘資料から判明している。近年、高級技術については、中国から技術伝播が窺え、組織的な造営体制のもとで、日本国内で中央から地方に技術が広まったことが明らかになった。これらの研究状況を踏まえ、古代建築史をA.建築技術(A-1:現存建築等、A-2:発掘遺構)、B.造営体制、C.儀礼の3つの視点をもって、文献資料の検討、現存建築・絵画・彫刻資料の調査、発掘遺構の集成と分析により、東アジアにおける古代建築の技術体系の再構築を図る。これらの研究を「技術伝播」を核とした相互の融合を図る(目的D)。これを通して、東アジアにおける日本建築の特質を明らかにすることを本研究の目的としている。 当該年度の研究では、日本・中国の古代建築に関する情報を修理工事報告書や先行研究を基に、文献史料から調査をおこなった。また日本国内の古代・中世の歴史的建造物を中心に、古代の建築技術にかんする現地調査を進めた。 これらの現地調査・文献調査とともに、チェコ・プラハにおいて行われた国際会議SHATiSにおいて、日本の木造の歴史的建造物の架構に関する研究発表をおこない、木造建築に関する世界的な潮流と日本の特質を示すことができた。その内容は日本の複数の柱を貫通する貫の技術にかんするもので、日本の貫の類型を分類し、その施工精度に差があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症のまん延にともなって、海外渡航が困難であり、国際会議や海外調査が制限されていたが、旧状への回復はないなかで、状況の緩和に応じで、国際会議での現地での発表を行うことができ、一定程度の成果を上げることができた。 ただし、海外調査に関しては、世界的な渡航状況の悪化という予期せぬ要因によって、中国国内の現地調査に関しては、困難な状況にある。そのため、この現地調査に基づく現存建築関連の研究という部分に関しては、やや遅れていると判断しておく。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍における中国の現地調査が行えないという課題は継続している。そのため、当研究室に在室する中国人大学院生に謝金作業よって日本国内で入手できる中国関連史料の収集に努める。そして13世紀以前の中国木造建築に関する情報の蓄積を進め、成果を発表する。 また今後、現地調査が可能になり次第、現地に赴いて歴史的建造物の調査をおこなうとともに、国際研究集会を開催し、古代における東アジアの建築技術の伝播および日本建築の特質について明らかにする。
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Research Products
(6 results)