2019 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of the Disaster Management System for Mega Disasters
Project/Area Number |
18H01688
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
越山 健治 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40311774)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 雅浩 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (00329343)
紅谷 昇平 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (10455553)
牧 紀男 京都大学, 防災研究所, 教授 (40283642)
永松 伸吾 関西大学, 社会安全学部, 教授 (90335331)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 地域防災計画 / 計量テキスト分析 / 巨大災害 / 災害体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,昨年度収集し,テキスト化した都道府県地域防災計画について,詳細な計量テキスト分析を行い,その特徴を明らかにした. テキスト化できた地域防災計画(45道府県分)について,抽出した語数が約650万語となり,トークン比が0.0024,上位頻出150語が全体の57.5%をカバーしていることが示され,共通性が非常に高い計画書であることがわかった.地域防災計画が,災害対策基本法による国の防災基本計画からのヒエラルキー型計画であることや,体系法である法制度に基づく所持案を整理することが求められることがその理由といえるが,地域防災としての特徴・特性を十分に反映できておらず,災害対策の責任主体としての具体性・実行性について疑念が生じる結果となっている. 共起ネットワークからは,大きな群として「被害発生からの状況把握」「被害情報の収集・連絡」「関係機関の調整」「活動実施・体制整備」が連結しており,そこから離れて「応援要請」「住民避難」「物資輸送」「道路交通」といった諸活動要素が配置されていることが示され,地域防災計画の主構造が明らかになった.これら大構造は都道府県間でそれほど差がなく,一方で「復興」「連携」「支援」といった巨大災害を念頭においた語句においては差が発生していることがわかった.地域性が反映される計画コンテンツについて,より詳細な分析が必要である. また,テキスト分析と並行して,巨大災害に関係するさまざまな研究・論述を発表しており,今後の不確定性の高い災害発生を見越し地域防災の計画論として組み込まれるべき要素について考察を深めた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域防災計画の成立過程および災害対策基本法の近年の改正の流れを整理し、各都道府県の作成する地域防災計画内容の分析がおおよそ終了した。これらにより、法体系による実質的な計画記述の統制がなされているものの、他方地域分権型災害対応という基本原則が掲げる体制や計画構築になっていない現実を指摘することができた。また、地方自治体およびコンサルタント向け調査についても、実施可能なところまで準備を整えており、ほぼ予定どおり順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下3つの調査・分析を実施し、巨大災害に備える計画体系を提示することを目指す。 まず、自治体向け質問紙調査を企図している。47都道府県および1741市町村に対して、地域防災計画の作成実態に関するアンケート調査を実施する。そこでは、計画の作成方式、計画の位置づけ、計画の活用展開、担当部署、変更箇所、作成上の問題・課題などを収集し、現状の地域防災計画の運用実態を明らかにする。また、特徴的な計画を有する自治体については、追加のインタビュー調査を実施し、将来的な発展可能性を考察する。次に、受注コンサルタント調査の実施を企図している。国及び地方公共団体の防災計画策定業務を受注する先であるコンサルタントに対するアンケート調査を行い、計画策定に関する業務実態および委託側から見た課題や問題点を分析し、その結果を踏まえ、防災計画の策定手法の構造的問題について明らかにする。これらの分析結果を総合し、シナリオプラニングによる防災計画による将来戦略の構築を検討する。すでに公表されている巨大災害による被害想定や内閣府防災の検討会資料および前年度までに蓄積した防災体制の現状・課題を題材として、今後の大規模災害発生を見据えた社会の対応環境について、10年先を設定したシナリオプラニング・ワークショップを行い、最悪シナリオの回避戦略のための計画体系構築の方向性について提示する。 ただし新型コロナウイルス感染症の影響により、自治体調査が現時点で困難なことが予想される。今回の災害対応が地域防災計画に及ぼす影響も少なからずあり、また広域的災害対応が必要であったことから、本研究の核となる知見が潜んでいることも予想される。十分な検討の上、場合によっては、延長申請を行い調査実施を1年延期することも考慮する。
|
Research Products
(9 results)