2018 Fiscal Year Annual Research Report
遠心制御熱対流による分子反応促進と迅速多項目遺伝子測定法の開発
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18H01798
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斉藤 真人 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80457001)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遠心熱対流 / PCR / microfluidics |
Outline of Annual Research Achievements |
集積化微小反応場における熱対流制御と遠心力による反応液の自走駆動および熱対流加速を利用した多項目遺伝子検知を可能とするため、反応場の微小化と集積化に加え、伝熱と流体の挙動解析を行うことで、より精密な熱制御の実現を目指している。微細加工技術を基に、微小空間流体制御についての検証を行い、遠心促進熱対流の生成と反応槽の集積とを両立するチップデバイス開発に取り組む。今年度は、微小反応槽の集積に当たっての熱環境の影響調査を行った。COMSOL Multiphysicsを用いてシミュレーション解析による評価を行った。遠心熱対流流路および熱源の3Dモデルを作成し、ヒーター温度をPCR条件(95℃,60℃)に設定した。ベナール対流方程式中の重力項を5Gに設定し、熱源位置に対する流路中心位置を-2~2mm、傾きを20~30°変化させた。また、流路間ピッチを7.2~30°(チップ中心からのなす角)を変化させた。流路内の流体挙動を計算したところ、ヒーター位置p=1.5、流路の傾きα=20°の時に流速が最大であった。この条件下で流路間のなす角βを変化させた場合、β=10°では流路内の流れ方向が揃い、β=7.2°では流れ方向が不揃いになることが分かった。熱対流に伴う流路周囲の熱分布変化、つまり流路間の熱干渉が生じているものと考えられた。これらの結果から熱干渉を回避するための流路集積設計指針が得られた。また、より確実な熱対流生成のために、非対称形流路や流路に沿ったヒーター形状も考案した。上記解析を基にして、セラミックヒーター+アルミブロックを熱源にした接触型ヒーターおよびマイクロ流路チップを試作し、熱対流生成が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーション解析結果(チップ形状・ヒーター形状の考案、楕円流路傾き、ピッチ、熱源配置、これらから熱干渉が生じない条件導出)、セラミックヒーター+アルミブロックを熱源にした接触型ヒーターおよび上記解析を基にしたマイクロ流路チップを試作し、熱対流生成が可能であることを確認できた。順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のようにシミュレーション解析から、流路および熱源形状を考案し、流路集積に伴う熱干渉が生じない条件を導出した。熱源供給方法として接触式を選択し、接触型ヒーターとマイクロ流路チップを試作した。これらを用いて熱対流生成が可能であることを確認した。今後は、微小空間における熱流体制御とその応用実証を進める。 (1)考案した流路形状パターンの熱対流およびDNA分子増幅反応の実証と条件最適化を行う。 (2)集積流路チップおよびヒーターヘッドの設計・試作を行い、多項目検出の実証を行う。このとき、薬剤耐性遺伝子種や腸内細菌遺伝子種などを選定し、プライマー濃度など個々の遺伝子増幅反応と検知に適した条件導出を行う。また、必要に応じてチップ・システムの改良を行う。
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Research Products
(5 results)