2020 Fiscal Year Annual Research Report
遠心制御熱対流による分子反応促進と迅速多項目遺伝子測定法の開発
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18H01798
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斉藤 真人 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80457001)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遠心熱対流 / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、集積にともなうマイクロ流路間の熱干渉を回避する構造・配置として、非対称形楕円流路構造、また個々の流路に沿った突起構造をもつ熱源形状とそれらの配置を考案し、さらに試作デバイスを用いて熱対流生成制御とカルバペネム耐性遺伝子のblaIMP-6、blaNDM-1、blaOXA-23を指標としたDNA増幅反応および同時多項目検出を達成している。本年度は、流路の3次元的な対称性の影響の検証について流体シミュレーションによる解析を行った。一方を狭深(500×300μm)、もう一方を広浅(750×200μm)となる非対称の楕円形マイクロ流路とし、これに流路片側に高温熱源の突起の配置(高温熱源配分を増やす)と遠心方向(時計回り・反時計回り)とを組み合わせた評価を行った。結果、広浅流路側に熱源突起を配置して時計回りに遠心することで、流速の向上だけでなくせん断方向への渦の発生が大きくなることが分かった。これは回転場の物体に作用するコリオリ力の影響により生じるものと考えられた。また、流路内に濃度差のある状態を仮定し、コリオリ力の作用の有無による溶液濃度変化の解析を試みたところ、拡散のみに依存する場合と比較して、コリオリ力の作用を考慮した場合では4倍速くなった。つまり、遠心温調による熱対流は、流路方向とせん断方向の流れをもつこととなり、より複雑な流れを生成して溶液混合を促進する効果があることが示唆された。このことはDNA増幅反応の促進に寄与するものと推測される。近年、腸内細菌と疾患・健康維持との関連が指摘されており、腸内細菌種のモニタリングが重要である。Bifidobacterium属およびEnterococcus faecalisの遺伝子配列をモデルに検討したところ、わずか15分で160copyからDNA増幅が可能であることも確かめられ、将来的な応用展開の可能性を見出せた。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)