2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H01918
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒崎 健 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (90304021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇埜 正美 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (00232885)
橋本 直幸 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50443974)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ぬれ性 / 二酸化ウラン / ヨウ素酸セシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
固液間のぬれ性は、固体から液体を引きはがすのに必要なエネルギーと密接に関係しており、ぬれ性が高いほど固体から液体を引きはがしにくくなることを意味する。本研究では、これまでに全く考慮されていなかった固体核燃料と液体核分裂生成物(FP)化学種間の「ぬれ性」に着目し、UO2をはじめとする蛍石型結晶構造を持つ固体とCsIをはじめとする各種セシウムハライド間のぬれ性評価試験ならびに模擬燃料からのFP放出試験を通じて、ぬれ性と燃料からのFP放出挙動の関係を明らかにすることを目的とする。 これまでに、CsIと同じセシウムハライドである塩化セシウム(CsCl)や臭化セシウム(CsBr)が、酸化物固体表面で溶融した際の濡れ挙動を調査してきた。その結果、UO2と同じ蛍石型の結晶構造をとるイットリア安定化ジルコニア単結晶や、ルチル型の結晶構造をとる二酸化チタン単結晶の表面においても、液体セシウムハライドが極めて良好に濡れ広がることが明らかとなった。 このような背景のもと、本年度は、CsIの酸化物であり、酸化物固体表面からは酸素を取り込みにくいと想定されるヨウ素酸セシウム(CsIO3)のUO2多結晶固体表面での挙動を調査することとした。その結果、液体CsIO3がUO2多結晶体に接触すると、表面でCsのみが限定的にUO2と反応し、IはUO2多結晶体表面に吸着されるという特殊な挙動を示すことが明らかとなった。この結果をもとに、ぬれ性のみならず科学的反応性の両面から、溶融燃料からの核分裂生成物の蒸発挙動を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、固体二酸化ウランと液体ヨウ素酸セシウムとの間の相互作用を、はじめて明らかにすることができた。具体的には、液体CsIO3はUO2多結晶体上で単に濡れ広がるのではなく、複雑な化学反応を通じて広がり・浸透することが明らかになった。これらは当初予定していた研究項目であり、予定項目すべてについて順調に実施できたことから、「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
静滴法試験ならびにTEM観察による固液界面状態評価を実施する。UO2、CeO2、YSZの結晶方位、結晶構造、表面粗さ、CsI、CsBr、CsClの融体構造、結合様式、さらには固体ならびに液体の表面エネルギー、固液界面エネルギー等をパラメータとして、固液間のぬれ性を総合的に検証することで、UO2とCsI間で確認された極めて良好なぬれ性の発生メカニズムを考察・解明する。並行して、模擬燃料からのFP(Cs)の放出挙動(放出されるタイミングと量)を評価する。得られた結果を別途実施してきたぬれ性の評価結果と比較・検討することで、ぬれ性とFP放出挙動の関係の解明を試みる。最終的には、FP化学種の蒸発、拡散、移行といった従来からあるFP放出モデルに、ぬれ性の効果を新たに追加した新しいFP放出挙動モデルを構築・提案する。
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