2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of in-field current transport properties for design of superconducting power devices
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18H01928
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 昌睦 福岡工業大学, 工学部, 教授 (80346824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 亮 九州大学, 工学研究院, 教授 (70415941)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超伝導 / 超伝導線材 / 臨界電流 / 電界-電流密度特性 / テープ線材 / 磁気顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、省エネルギー化、低炭素化への貢献が期待される超伝導電力機器の最適構造設計において必要不可欠となる高温超伝導線材の電界-電流密度特性を、複数の計測手法を取り入れることにより広範な実用領域に亘り、精密に評価することを目的としている。本年度に得られた主な成果は以下のとおりである。
直流四端子法による通電測定で得られた電界-電流密度特性が想定される性能の半分程度であった高温超伝導薄膜線材の臨界電流密度分布を,本研究で構築した走査型表面磁場分布計測システムを用いて計測した。その結果、線材の半面で大局的な超伝導電流が流れていないことが明らかとなった。そこで、臨界電流性能の異なる部位を選別して、電界放出形走査電子顕微鏡による表面構造観察及びエネルギー分散型X線分光器による元素分析を行ったところ、臨界電流性能がほとんど観察されなかった部位では、数十マイクメートル程度の粒径の超伝導結晶粒がBa欠損した非超伝導粒子に囲まれるような構造となっていることが確認された。一方、所望の臨界電流性能が観測された部位では、同様の非超伝導粒子の存在が確認されるものの局在しており、超伝導結晶粒は互いに連結していることが明らかとなった。以上の結果は、1)超伝導結晶粒のパーコレイティブな結合が大局的な臨界電流性能を得るために不可欠であること、2)非超伝導粒子の微細化もしくは分散化により更なる臨界電流性能の向上が期待できることを示している。また、これらの複数の計測・観察手法を有機的に組み合わせることにより、製造プロセスの最適条件抽出の効率化を図ることも期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
磁場中性能の計測が当初の予定よりも後ろ倒しになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
磁場中性能の計測が当初の予定よりも遅れている点については、すでに伝導冷却型超伝導マグネットの導入計画が進んでいることから、他の研究項目とのスケジュール調整により実施を実現する。 また、今年度の成果より、本研究で取り入れた計測・評価手法は、コンビナトリアル合成により作製された超伝導薄膜線材の性能評価にも適用できる可能性があることから、この点に関する検証も進める方針である。
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Research Products
(8 results)