2018 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の弱い相互作用トリガーシステムの解明とその設計提案
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18H02082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長門石 曉 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (30550248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 大祐 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60756732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 低分子 / 物理化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、弱い相互作用(低親和性)を示す蛋白質―蛋白質間相互作用の分子認識メカニズムを解明することにより、生体分子の秩序を制御する新しい分子設計の提案を試みることを目標としている。この低親和性の相互作用は、熱力学パラメータと速度論パラメータを精密に解析することにより、このパラメータに基づいた分子レベルでの相互作用メカニズムを記述することにより、達成することができると考えている。 <OMD蛋白質の相互作用解析> コラーゲンタイプIとOMDとの分子間相互作用とその複合体構造を解明することのより、低親和性相互作用メカニズムの足掛かりを見出すことを試みた。まず物理化学的な解析として、会合定数の温度依存性(lnk/T-1)に関するvan’t Hoff解析を行った。その結果、温度の上昇に伴う会合定数の増大が観察され、この相互作用は脱水和を伴う様式を駆動力としたメカニズムであることが明らかとなった。さらに塩濃度の上昇による親和性の低下が観察されたことから、複数の荷電残基をアラニンに変異させたアミノ酸変異体を調製した。その結果、いくつかの荷電残基において、親和性を創出する重要なアミノ酸が含まれていることが明らかとなった。これは、コラーゲンの表面がプラスに帯電していることとOMDがマイナスに帯電していること、さらにコラーゲンにはその分子表面において水分子が取り囲んでいることによって、相互作用の際に有利なエントロピーを獲得していることを示唆する結果であった。以上の成果の一部Nature姉妹紙の学術論文誌にpublishすることができた(Commun Biol. 2018, 1:33. doi: 10.1038/s42003-018-0038-2)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OMDとコラーゲン間の相互作用において、静電的作用による脱水和が駆動力となっていることを見出し、その駆動力がコラーゲンの繊維形成(秩序)に重要な役割を果たしていることが明らかとなった(Commun Biol. 2018, 1:33. doi: 10.1038/s42003-018-0038-2)。一方で、InlAに関する相互作用解析においては、低分子スクリーニングのアッセイ系構築に時間を要しており、2019年度において、制御剤の取得を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、分子制御剤のコンセプトを打ち出すために、InlAとEカドヘリンの相互作用解析と阻害剤探索をメインに進める。低分子ライブラリーを活用して、SPRと菌体アッセイを併用して特異的阻害剤を取得し、低親和性相互作用を制御する上での足掛かりとなる相互作用様式を見出す。
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Research Products
(44 results)