2019 Fiscal Year Annual Research Report
Hydrogen production from formate by a hydride biocatalyst
Project/Area Number |
18H02091
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尹 基石 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (50701497)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | エネルギー変換系 / ヒドロゲナーゼ / ギ酸デヒドロゲナーゼ / 水素 / 二酸化炭素 / ギ酸 / 人工融合酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体触媒を活用した物質変換反応は、エネルギー消費や副生成物が少ないという、注目すべき特性を有する。しかし、それを化学工業レベルまで凌駕するエネルギー変換系として構築するには、安定性と効率性を備えた新しい触媒反応系の開発が必要となる。本研究では、クリーンエネルギー源として注目されている水素に着目し、その効率的な生成法となる新規生体触媒を活用したエネルギー変換系を提示する。 そこで、これまでに「酸素に安定なヒドロゲナーゼとギ酸デヒドロゲナーゼ」を精製し、その生化学的な特性解析を行ってきた。申請者らが精製した両酵素はいずれも細胞膜上に存在するため、細胞膜を用いたエネルギー変換系の構築から研究を進めている。具体的には、申請者らが単離した新規細菌Citrobacter sp. S-77から細胞膜を単離し、導電性の担体であるカーボンブラックに担持し、天然由来ポリマーなどで固定化し、ギ酸からの水素生成系を構築する。先行実験として、新規両酵素を保持する細胞を用い、ギ酸からの水素生成を検討した。その結果、本実験系では、カーボン粒子に固定した細胞とカーボンを使用しない両実験系で、同程度のギ酸から水素発生の活性が検出された。しかし、細胞膜を用いた反応系では精製酵素の触媒反応効率と比較すると、その反応効率が著しく低いという問題がある。そこで、本研究では、精製酵素をカーボン粒子へ担持する方法や、電気化学と燃料電池システムでの評価法も確立している。また、Citrobacter sp. S-77 由来の膜結合型[NiFe]ヒドロゲナーゼにおいては、そのX線結晶構造解析の結果により、その反応特性解析に必要な基本情報を詳しく調べている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[Mo]ギ酸デヒドロゲナーゼと[NiFe]ヒドロゲナーゼを保持する細胞膜単離し、導電性の担体であるカーボンブラックに担持し、天然由来ポリマーであるアルギン酸カルシウムで固定化した「エネルギー変換系を構築」した。そこで、細胞膜酵素系によるギ酸から安定な水素生成が確認された。また、本実験系で、同程度の二酸化炭素の水素化反応が検出された。本研究の優れた点は、単離細胞膜をカーボンブラックに担持することで、両酵素間の局在性を強化させ電子伝達を促進させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞膜結合型の[NiFe]ヒドロゲナーゼと[Mo]ギ酸デヒドロゲナーゼをカーボン粒子に方向性よく固定し、酵素電極を作製し、アノード極にはギ酸酵素電極を、カソード極にはヒドロゲナーゼ酵素電極を作製し、直接的なエネルギー変換反応を評価する。また、本酵素反応系に人工及び天然のメディエータ系を融合させた、新規酵素電池でのエネルギー変換系の構築にも挑戦する。さらに、本融合型酵素反応系を用いて、水素を電子源とし、二酸化炭素固定反応によるギ酸を生成する炭酸固定反応についても併せて検討を進めていく。
|