2019 Fiscal Year Annual Research Report
アズキの栽培北限への適応形質に関する分子機構の解明
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18H02171
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
加藤 清明 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (60271748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 優貴 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部 十勝農業試験場, 研究主任 (10502403)
森 正彦 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (60645711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 感光性 / 耐冷性 / アズキ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、FD1を内にマップした438.5kb領域には、31遺伝子が予測されていた。そこで、昨年度から継続していた「しゅまり」と「Acc2265」の長日処理と短日処理後の31遺伝子の発現解析をRT-qPCR法により完了した。内在性コントロールには、ユビキチンを用いた。本年度は昨年度特定した候補遺伝子のGene1と同様な発現パターンとなったGene13を見出した。Gene13のアミノ酸配列について、Blastpによるホモログの探索を行6たところ、他のマメ科を始め植物には相同な遺伝子はなかった。従って、Gene1をFD1と特定した。 「しゅまり」と「Acc2265」間の交雑F2のうちfd1fd1の個体に「しゅまり」を戻し交配した戻し交雑自殖系統(BC1F6)93系統を十勝農業試験場で試験栽培し、開花始まりを調査した。戻し交雑自殖系統の幼葉をサンプリングし、DNAを抽出し、前年度までに開発していたInDleマーカー108種の遺伝子型を解析した。その結果、84マーカーから成る11連鎖群を形成し、物理的長さの78.6%をカバーする連鎖地図を作成できた。一部の染色体については、端のマーカーで連鎖が認められなかった。戻し交雑自殖系統(BC1F6)74系統を十勝農業試験場人工気象室で試験栽培し、青山と島田(2014)に従い耐冷性を検定した。3花以上サンプリングできた51系統について柱頭付近の稔性花粉数(花粉数)の平均を求めた。続いて、84マーカーについて「しゅまり」型ホモとAcc2265型ホモの遺伝子型間の花粉数についてt検定を行った。その結果、4種の染色体上のDNAマーカーについて、耐冷性の関連性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FD1の候補となった31遺伝子の発現解析を完了させて、1遺伝子に絞り込むことに成功していること。ただし、塩基配列の変異では、日長反応性の品種系統間差異を説明できなかったために、論文発表が遅れている。今後、メチル化に違いで説明できるか否かを検証し、論文発表につなげる計画である。
開花期遺伝子と耐冷性遺伝子については、計画通り1年目の試験を終えていることは問題ない。ただし、耐冷性については、Acc2265並みの強い系統がマッピング集団内に観察されなかったことが、予想に反していた。そのために極強レベルの耐冷性を説明できる遺伝子座が検出されるか、課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)FD1の遺伝子発現の日長反応性の品種系統間差異を説明できる分子機構を解明すること。そのために、FD1の上流1000延期とコード領域について、品種系統間にメチル化程度の差異があるか否かを解析する。 2)圃場にて慣行栽培した際の開花始まりのQTLを特定すること。そのために、昨年度と同様2日年目の試験を実施する。2日年の結果を合わせてQTL解析を行う。また、インキュベータ内で栽培し、感光性と感温性を評価し、開花始まりのQTLが感光性あるいは感温性によるものかを明らかにする。 3)耐冷性極強に関与するQTLを特定すること。そのために、マッピング集団の耐冷性の2日年目の表現型調査を実施する。 4)上記2と3の精度を上げるために、QTL解析に用いる連鎖地図のカバー率を90%まで向上する。そのために、ギャップについて、新たなマーカーを開発する。
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Research Products
(2 results)