2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H02191
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石丸 努 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 上級研究員 (40414635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若山 正隆 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (20721913)
石崎 琢磨 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 主任研究員 (30442718)
佐々木 和浩 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 任期付研究員 (70513688)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 早朝開花 / イネ / 開花時刻 / ゲノム編集 / 代謝産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終目標は、イネ野生種の早朝開花性を決定する原因遺伝子を同定し、どのような分子メカニズムで栽培種と野生種の間に開花時刻の違いが生じるのか、を解明することである。本年度は原因遺伝子の同定に向けて、ゲノム編集を用いた早朝開花候補遺伝子変異体の作出・特徴付け、および早朝開花系統のBACライブラリ作製を実施した。また、鱗被や葯の形態発達や代謝産物を組織別に詳細に調査し、NIL-qEMF3における開花の形態生理の変化を明らかにしようとした。具体的に本年度の研究は、NIL-qEMF3を実験材料に用い、1. ゲノム編集による候補遺伝子の機能を喪失した突然変異体の作出およびその開花時刻の観察、2. 早朝開花系統のBACライブラリの作製および早朝開花候補遺伝子座を含むクローンの選抜、3. 開花に関わる器官の形態観察および代謝産物測定、の大きく3つの要素に分けて実施した。
1. については、候補遺伝子の機能を喪失したNIL-qEMF3背景の突然変異系統をゲノム編集により作出し、その突然変異系統の開花時刻の分布はNIL-qEMFとは異なることを見いだした。当該遺伝子は開花時刻に関わることが明らかとなったが、早朝開花性の責任遺伝子であることを証明するためには、相補性検定を実施する必要がある。2. については、早朝開花系統のBACライブラリを作製し、候補遺伝子を含むゲノム断片を保持するクローンの選抜を完了した。3.については、開花に深く関与する鱗被の膨張が、NIL-qEMF3で比較対照品種のIR64に比べて早く行われること、また開花日に時刻別のサンプリングを行い、開花器官別に代謝産物の測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究計画を着実に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、研究実施計画に基づき、おおむね順調に計画を進展させることができた。 2020年度については、1.候補遺伝子のcDNA塩基配列決定および開花に伴う遺伝子発現解析、2.相補性検定のための材料育成および開花に伴う代謝産物動態の変化、を解析していく予定である。 研究のために必要な予算や知識・技術は本科研費の研究グループで有しており、問題はないものの、材料の作付け時期に新型コロナウィルスによる緊急事態宣言中の出勤停止を受けており、今年度の計画が着実に実施されるかどうかは不透明なところが多い。
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