2021 Fiscal Year Annual Research Report
アワビ筋萎縮症をモデルとした貝類の宿主病原体相互作用の解明と防除技術の確立
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18H02282
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
松山 知正 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), グループ長 (20372021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐生 郁也 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), グループ長 (20443351)
藤原 篤志 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), 主幹研究員 (30443352)
高野 倫一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), 主任研究員 (40533998)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アワビ / 筋萎縮症 / アスファウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ウイルス株間の比較ゲノム解析と、病貝と健常貝の比較メタボローム解析を実施した。 比較ゲノム解析では、2008年から2020年の間に保存された発生地域が異なる5つの病貝サンプルについて、次世代シーケンサーを用いて病原ウイルスの全ゲノムを解読して比較した。全長約281kbpのゲノム全体にわたって、一塩基多型(SNP)が多く存在していたが、1kbpあたりのSNP数が25をこえる遺伝子14種類のうち、7遺伝子は膜貫通領域が予測される遺伝子であった。本ウイルスのゲノムから予測された全309遺伝子のうち、膜貫通領域が予測されたのは63個(20.4%)であり、SNPの多い遺伝子は膜タンパクに偏りがある。本ウイルスが分類されるNucleo cytoplasmic large DNA virusの系統は、細胞外とキャプシド内に二枚のエンベロープを持つため、いずれの膜上に発現される遺伝子か不明だが、本ウイルスの変異は膜タンパクに集積する傾向があると思われる。貝類は抗体による防御機構を持たないにもかかわらず、膜タンパクに変異が集積することはウイルスの生存戦略を考える上で興味深い。 SNPが高頻度に検出される遺伝子6種類について、これまでに収集した2005年~2022年に日本各地で発生した病貝について、系統解析を行った。ウイルスの株間に、発生年や発生地域による系統的偏りはみられなかった。明確な証拠は得られていないが、ゲノム中のSNPの多さと、地域性や分離年による偏りのなさから、本ウイルスは古くから日本に存在していたものと想像される。
病貝と健常貝の比較メタボローム解析では、主成分分析とHeat Map 解析において、感染個体群と健常個体群は明瞭に区別できた。特に病貝では、解糖系、TCA代謝、尿素回路が低下し、アミノ酸含量も全体的に低位であった。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)