2019 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the functions of maternal histone-mediated imprinting
Project/Area Number |
18H02359
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 梓 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (60814910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 章悟 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 専任研究員 (20585202)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒストン型インプリンティング / 胚体外組織 / 着床前発生 / 卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムインプリンティングは、胎盤を有する哺乳類において片アレル性の遺伝子発現を制御し、その破綻は発生・成育異常を引き起こす。これまでインプリンティングは配偶子由来のDNA メチル化で制御されると考えられていたが、一部の父性発現インプリント遺伝子は、配偶子の DNAメチル化非依存的に、卵子由来のヒストン修飾H3K27me3により制御されることを見出した。このヒストン型インプリンティングは、着床後胚において、将来胚体組織に分化する細胞では失われていたが、将来胎盤を含む胚体外組織に分化する細胞でのみ維持されていた。ヒストン型インプリンティング遺伝子として、Gab1, Jade1/Phf17, Platr20, Sfmbt2, Smoc1, Slc38a4, Xistの7個をこれまでに同定している。次に解明すべき疑問は、これらの遺伝子が胚体外組織において片アレル性発現制御される生理的意義は何か、という点である。この疑問に答えるために、H3K27me3修飾酵素のEedを卵子特異的にノックアウトしたヒストン型インプリンティングの破綻マウスモデルを作成したところ、この胚において、着床直後の発生遅延、出生前部分致死、および、胎盤過形成が認められた。現在、これらの表現型に寄与するヒストン型インプリンティング遺伝子の同定と、その機能解析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒストン型インプリンティングの破綻マウスモデルと、ヒストン型インプリンティング遺伝子それぞれのヘテロ欠損体の作製が概ね完了し、これらを用いた回復実験を進めている。こちらは概ね順調と言える。一方で、dCas9を用いたエピゲノム編集については、試行錯誤ののちに、オフターゲットの問題が顕著であると結論付けられる結果を得た。そのため、新たなツール開発に着手した。全体として前進はしているが、当初計画よりは遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のヒストン型インプリンティング遺伝子の中に、そのインプリント破綻(両アレル性発現)が上述の表現型を引き起こす遺伝子があると考え、以下の2つのアプローチで検証する。 1. ヒストン型インプリンティングの破綻マウスにおいて、各種のインプリンティング遺伝子にヘテロ欠損を導入することで、強制的に1倍量発現を回復させて、表現型が回復する遺伝子を同定する。 2. 生体内でES細胞から卵子に分化させる系を立ち上げる。このES細胞に巧妙にゲノム編集しておくことで、得られた卵子の特定領域のエピゲノムを変異させ、特定遺伝子のインプリンティングを破綻させる。
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Research Products
(14 results)