2018 Fiscal Year Annual Research Report
Structural basis and mechanism of Sec holo translocon complex
Project/Area Number |
18H02405
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
塚崎 智也 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80436716)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | トランスロコン |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内におけるタンパク質輸送において,多くのタンパク質は膜をこえる。タンパク質という膜を巨大なタンパク質が透過するためには専用のチャネルが必要となる。大腸菌Secトランスロコンはタンパク質を透過させるチャネルを形成する。Secトランスロコンは膜タンパク質SecY, SecE, SecGからなる複合体(SecYEG)である。SecYEGは,SecA ATPase, SecDF, YidC, リボソームなどと複合体を形成し機能する。この複合体が織りなす仕組みについては未だ不明な点が多く残されている。この複合体の分子メカニズム解明のため各因子の構造解析を進めてきた。SecDFとYidCについては,これまでの構造解析とは異なる状態の構造が得られ,これら構造情報に基づく機能解析を行い,本年度原著論文として発表した。SecDFは可動性のペリプラズム領域を持つが,この領域は生体内でベーターシート構造からベータバレル構造へとフォールディングチェンジするという劇的な変化を見出した。実際に生体内においても,これらの構造体が存在することを確認した。これまで提唱されていた以上にSecDFは,大きな構造変化を繰り返すことでタンパク質膜透過反応に関与していることが明らかとなった。大腸菌YidCの解析では,これまでよりも高い分解能での構造解析を達成し,YidCのコア領域すべてをモデル化することに成功した。この構造情報を用いて進めた分子動力学計算の結果は,YidCのサイプラズム領域の可動性について示唆を与えた。また,本研究の目標の一つであるホロトランスロコンの構造解析にむけても,準備を進めSecトランスロコンと相互作用するタンパク質の共結晶化に成功した。今後はさらに分解能を向上させSecトランスロコンの全容解明を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に研究が進行した結果,責任著者として英語の論文を6報報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
タンパク質の膜透過の分子メカニズムの解明には,タンパク質膜透過時に形成されるSecトランスロコンを含む複合体の構造情報が必要とされる。酵母由来のSecトランスロコンを含む複合体は本年度末に2報が立て続けに報告された。これらはクライオ電子顕微鏡単粒子解析によるもので分解能が4オングストローム程度であった。バクテリアでは「SecA, SecYEG, SecDF, YidC から構成されるSecトランスロコンを含む複合体が存在」する。代表者らを含むいくつかのグループによって,これら各構成因子の立体構造情報が報告され,タンパク質輸送の分子メカニズムの詳細が明らかとなりつつある。しかしながら,「未だSecトランスロコンを含む超分子複合体の全体像(全像)は解明されていない」。本研究ではこの膜タンパク質超分子複合体の構造決定を行い,新たに得られた構造情報に基づく機能解析から,タンパク質の膜透過・膜組込みの分子メカニズムの詳細を解き明かす。今年度は,この構造解析を達成すべく安定な複合体の精製ができるよう融合タンパク質を使ったり,異なる界面活性剤を用いて精製をおこなったりする。Secトランスロコンを含む巨大複合体の単離ができれば,クライオ電子顕微鏡による解析を進めるとともに,X線結晶構造解析を目指して結晶化を進める。
|
Research Products
(13 results)