2019 Fiscal Year Annual Research Report
Illuminating new biological mechanisms by multiomics approach with mass spectrometry cheminformatics
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18H02432
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
津川 裕司 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (30647235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中林 亮 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (30586160)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統合オミクス / 質量分析インフォマティクス / データサイエンス / メタボローム / 植物特異的代謝物 / 二次代謝物 / SNPs |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究は,統合オミクス研究に資する質量分析インフォマティクス研究を行うものである.質量分析は様々な生物・医学研究(メタボローム・リピドーム・プロテオーム)に必須の装置であり,質量分析より得られる各オミクス階層の複雑なデータを解析するためには質量分析インフォマティクスが必須である.当該年度では,特に植物の二次代謝物を包括的に捉えるための質量分析インフォマティクス研究,並びに世界の各地で自生しているシロイヌナズナの自然変異体のSNPs解析データとの統合オミクス解析を行うことで,新たな代謝物―遺伝子―形質の関連を解き明かすことを目的とした.我々は安定同位体で標識した二酸化炭素(13CO2)で生育させた植物体と通常条件下(12CO2)で生育させた植物体のLC-MS/MS計測データを統合し,(1)未知代謝物の炭素数の決定,(2)得られた炭素数をもとにした組成式の算出,(3)組成式と MS/MS 情報からの代謝物クラスの分類・化合物部分骨格の決定,そして(4)MS/MS スペクトルデータのネットワークによる可視化が可能なツール「MS-DIAL 3」を開発し,合計 12 植物種より 1,133 種の代謝物構造情報を得ることに成功した.そのうちシロイヌナズナからは地上部(shoot)で131種,根からは185種の代謝物構造情報を得た.本代謝物情報をもとに,開花時間や乾燥ストレス,および窒素飢餓状態において異なる形質を示す合計25種類の自然変異体(accession)のSNPs連関解析を行った.これにより,さまざまな環境因子に関連のある代謝物(グルコシノレートやその分解物、そしてフェノールアミドやモノリグノール硫酸抱合体など)を新たに見いだし,本手法が代謝物の構造情報を決定するだけでなく,さまざまな表現型との関連解析にも適用可能な技術であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度は筆頭著者としてNature Methods誌に,そして2019年度は筆頭著者かつ責任著者として再びNature Methods誌に本予算範囲内で掲載するに至った.このような成果が達成できたのは,自分自身の研究力だけでなく,(他の研究予算で雇われているかもしれないが)研究室内外の研究協力者と一心同体になって研究を推進できたことが大きい.
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Strategy for Future Research Activity |
統合オミクス研究を行うためには,オミクス解析結果(アウトプット)の標準化を行うことが必須である.これらアウトプットが標準化されることができれば,いわゆるデータサイエンティストが各オミクス階層データを統合するための敷居は大きく下がることになり,オミクス研究の生命科学分野の貢献が飛躍的に向上すると考えられる.次年度では,特に脂質解析(リピドミクス)において必須と考えられる脂質記法,定量値,およびアノテーションの標準化に取り組み,脂質生化学の更なる発展に貢献できることを目指す.
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Research Products
(9 results)