2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the mechanism of strigolactone signal transduction in a parasitic plant Striga
Project/Area Number |
18H02459
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
土屋 雄一朗 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (00442989)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 寄生植物 / ストライガ / ストリゴラクトン / 発芽 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
寄生植物は、植物形態の基本的な枠組みを逸脱することなく、従属栄養として生きる能力を独特に進化させた高等植物である。本研究では、アフリカの穀物生産 に深刻な被害を及ぼす寄生植物ストライガ(Striga hermonthica)を研究材料に、宿主因子であるストリゴラクトン(SL)の応答に関わる新たな因子の同定を行 う。今年度は、ケミカルスクリーニングより発見した発芽阻害剤であるRTC2の分子メカニズムの解明を行なった。RTC2はストライガのSL受容体の一つである ShHTL2に選択的に標的する化合物である一方、 異なる受容体アイソフォームであるShHTL7の選択的アゴニストであるSPL7の作用を抑圧することから、これら二つの受容体の間に何らかの相互作用があると考えられた。この分子レベルでの実態を探るため、酵母ツーハイブリッド法と共免疫沈降による受容体間のタンパク質-タンパク質相互作用を解析した結果、前者では相互作用が見られ、後者では確認されないという矛盾する結果が得られ、更なる検証が必要と考えられた。また、ストライガの発芽を刺激する化合物として同定された8-50と名付けた化合物の標的タンパク質の生化学的な同定に向け、リンカーを結合する部位を特定するための構造活性相関解析を行った。この結果をもとにリンカーを結合した8-50化合物を合成し、さらにビオチンを結合することで、アビジンビーズ固相上に固定し、ストライガのタンパク質素抽出液からの結合タンパク質の同定を試みた。LC-MSを用いて解析した結果、ノイズレベルでの低い結合を示すタンパク質が多数得られたため、8-50に関してはこの方法での標的同定は難しいと思われた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子メカニズムの解明にやや難を抱えているが、これは研究当初から想定されていた範囲内であり、手法を工夫することで克服できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
RTC2に関しては、受容体間の相互作用に焦点を当てて分子機構の解明を進めてきたが、受容体とともにシグナルを伝える他の因子との相互作用も視野に入れ、研究を進めていく。例えば受容体の下流では、F-boxタンパク質であるMAX2や負の制御因子であるSMAX1タンパク質が知られており、受容体とリガンド依存的に相互作用することが知られている。RTC2はShHTL2のこういった相互作用を助長するか、ShHTL7とこれらタンパク質との相互作用を阻害するか、などを酵母ツーハイブリッドと共免疫沈降で調べていく。8-50に関しては、生化学的に結合タンパク質を同定することが難しいことから、別の同定ほうを試みる。酵母ツーハイブリッドを応用して、化合物と結合するタンパク質をスクリーニングする酵母スリーハイブリッド法も報告されている。こちらは、GAL4などのDNA結合に、例えば哺乳類のグルココルチコイド受容体を融合させ、そのリガンドであるデキサメタゾンと目的の化合物をリンカーを介して結合させたものを加えることで、結合タンパク質をスクリーニングする手法である。今回合成した8-50にリンカーを結合させたものは酵母スリーハイブリッド法にも応用できるため、デキサメタゾンと8-50を結合させた分子を合成し、スクリーニングを進める。
|
Research Products
(9 results)