2020 Fiscal Year Annual Research Report
血縁の効果と群形成の効果を完全に分離した上での社会性の進化因の解明
Project/Area Number |
18H02502
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 英祐 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40301874)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和也 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (00648280)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 協力の進化 / 血縁選択’群形成の効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年7月中旬に、複メス化した巣50から、吸虫管では血を吸い出し、左赤足先端のふ節部分を切り取り、DNA 用サンプルとして99.5%エタノールで保存した。八浜個体識別用マーキングした上で採集した巣に戻した。採集したサンプルから、DNAを抽出し、6つのマイクロサテライト遺伝子座用のプライマーで、各遺伝子座の遺伝子型を決定し、コロニーメンバーの個体間毎に血縁度推定を行った。その結果、複メスコロニーの中には、母親と産卵経験のない娘からなる真社会性の巣、真社会性の巣に血縁関係のない個体が混じっている巣(粉場合、非血縁メスは自分の子供を残していた)、血縁のある複数の娘世代が共同している巣、血縁関係がない者が協力している巣(各メスは自分の子供を残していた)、娘世代が単独で営巣する巣が存在することが分かった。また、各タイプの巣について、8月上旬に採集した翌年度への雌雄を採集し、各タイプの巣の在巣メスの血縁度を個別に計算したところ、単メス巣以外、どういう営巣形態であっても、各娘世代は適応度を得ている事が確認された。 在荘メス数と採餌回数を5つの個体群で観察した実験から、捕食者である動員性のアリが活発になる第2繁殖期の複メス営巣は単メス営巣に比べて、有意に多い採餌回数と有意に長い1回の採餌トリップ時間を示す事が判明した。また、採餌と巣の防衛を同時に行えない単メス巣では、採集地の捕食ありの活性が低下する午後遅くに1~2回だけ採餌するが、その他の複メス巣はタイプに無関係に同様な開始医の採餌を行うことも判明した。 でーたから、1匹の蛹を作るのに必要な採餌回数と時間を計算し、以前のデータに外挿したところ、真社会性の高い血縁度は包括適応度の8%しか説明せず、群形成による採餌効率の増加が82%を説明したため、共同のメリットはほとんどが群形成の効果に由来することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の予定通りにデータが出ているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度、まだ出ていないデータをそろえ、分析し、結論を出し、論文をまとめる。
|