2018 Fiscal Year Annual Research Report
Multistep one-pot asymmetric synthesis by enzyme-metal combo-catalysis
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18H02556
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 周司 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (60192457)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リパーゼ / 金属触媒 / 不斉合成 / 動的速度論的光学分割 / 多工程ワンポット合成 / 軸不斉ビアリール |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,様々な多工程ワンポット不斉合成法が開発されてきたが,複数の触媒を用いる場合には,触媒の共存性,各工程の反応制御などが困難であった。一方,天然の酵素を精密有機合成に活用する研究が盛んに行われているが,適用できる反応の種類や基質に制限がある。このような背景下,我々は最近,メソポーラスシリカの細孔を利用して酵素と金属触媒を分離することで,これら2種類の触媒を併用する動的速度論的光学分割 (DKR) を効率的に実施する方法を開発した。この成果は,上述した多触媒の共存性の向上,酵素触媒反応の適用拡張などの課題に対する解決策を提示している。そこで,本課題研究では,我々の方法論の拡張と応用展開を行い,実践性向上を図ることを目的として研究を実施した。その結果、以下の成果を得た。 1.軸不斉ビアリール化合物のリパーゼ触媒速度論的光学分割を行う際に、反応系にNa2CO3を添加するとリパーゼ触媒反応が促進されることを見出した。その現象の種々の基質で検証し、一般性があることが明らかになった。この成果は、今後、軸不斉ビアリール化合物のDKRの適用展開を進めるうえで極めて重要な知見となった。 2.ビアリール化合物の中には,室温での回転障壁が小さく自由回転する場合がある。この化合物にリパーゼによるエナンチオ選択的アシル化を施すことで,生成物の自由回転が束縛され,軸不斉を有する化合物が生じる可能性がある。この概念をいくつかのビアリール化合物に適用し、高収率,高光学純度で軸不斉化合物を合成できたので、今後は、この方法をより広範な基質に適用する。 3.リパーゼとオキソバナジウムを併用する動的速度論的光学分割法をプロパルギルアルコールに適用し、DKRによって両鏡像体を調製する方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って、次年度は軸不斉ビアリール化合物のDKRの基質適用性拡張、ラジカルカップリングと動的速度論的光学分割をワンポットで行う反応開発に注力する。また、第3級アルコールの動的速度論的光学分割を検討する。
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