2019 Fiscal Year Annual Research Report
Characterization of multifunctional roles of TRAF5 in pro-inflammatory cytokine receptor signaling
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18H02572
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
宗 孝紀 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (60294964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 雅志 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (20191033)
石井 直人 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60291267)
川口 甲介 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (80624866)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫 / 炎症 / サイトカイン / TRAF / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) CD4+ T 細胞以外の細胞に発現するTRAF5は新しい機序で炎症応答に関与するか? TRAF5 欠損マウスを用いて、DSS (デキストラン硫酸ナトリウム) による急性腸炎を惹起した結果、TRAF5 欠損マウスの腸管上皮細胞がDSSの侵襲作用に対して抵抗性を示し、軽度の腸炎が観察されることが明らかになった。TRAF5欠損マウスの大腸組織の上皮細胞では、DSS投与後にNF-kB依存的に誘導される炎症関連遺伝子の発現が低く抑えられていること、これにより、上皮組織のバリア機能が維持され、大腸組織への好中球の遊走が減弱することがわかった。TRAF5 欠損マウスの大腸組織では、一過性にTRAF2タンパク質の発現量の低下が認められ、TNFR1/2を介するシグナル伝達が減弱することで、炎症が起こりにくい状況が生まれることが強く示唆された。本研究から、非血球細胞におけるTRAF5の新しい炎症制御機構が明らかになった。 (2) 形質細胞様樹状細胞 (pDC) に発現するTRAF5が皮膚損傷治癒反応に及ぼす影響 TRAF5 欠損マウスを用いて皮膚における損傷治癒反応を解析したところ、治癒反応が促進することが明らかになった。TRAF5 欠損マウスの皮膚組織では、損傷治癒反応に関わる炎症関連遺伝子の発現量が亢進しており、損傷部位にCXCR3を高発現するpDCがより多く遊走することがわかった。TRAF5 欠損マウスから精製したpDCは、IRF5を高く発現し、TLR7やTLR9刺激に対して炎症性サイトカインをより多く産生することがわかった。本研究から、TRAF5がTLRシグナルを抑制することでpDCによる炎症サイトカイン 産生や損傷治癒反応を調節することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載する項目に関して、原著論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
-CD4 T細胞および B細胞のIL-27受容体におけるTRAF5の役割- IL-6受容体(IL-6Rおよびgp130)とIL-27受容体(WSX-1およびgp130)はgp130を共有する。定常状態のT細胞とB細胞にはTRAF5とIL-27 受容体が発現するため、TRAF5のgp130への結合がIL-27受容体シグナルを抑制する可能性がある。IL-6受容体とIL-27 受容体は、STAT1とSTAT3を介してシグナルを伝達するが、IL-6受容体がSTAT3、IL-27 受容体がSTAT1をより強く活性する傾向がある。今後、T細胞とB細胞のSTAT1を介するシグナル伝達がTRAF5の欠損により増強するかを評価する。定常状態のT細胞とB細胞には、それぞれCD27とCD40が発現し、TRAF5はこれらの受容体のシグナル伝達を促進するように働く。したがって、TRAF5の欠損によりこれら受容体の作用が減弱すると考えられる。これら相反するTRAF5の機能が1つの細胞内でどのように制御されるかについても評価する。 -TRAF分子のgp130への結合とgp130シグナル抑制との因果関係- TRAF2とTRAF5がgp130と相互作用することでIL-6受容体下流のSTAT3の活性化を抑制し、IL-6依存的なTh17細胞の分化を制限するが、TRAF1やTRAF3にはこのような抑制活性は認められない(J Immunol, 2016, 196: 4082-4089)。昨年度の研究において、gp130とTRAF1およびTRAF3との結合を免疫沈降法により評価した結果、TRAF3がgp130と共沈したが、TRAF1との共沈は確認できなかった。しかし、その意義が不明である。本年度も、gp130へのTRAF分子の相互作用と、そのシグナル伝達への抑制活性との関連性について解析を進める。
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Research Products
(15 results)