2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effect on virulence of S. suis by switching the surface antigenicity
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18H02658
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
大倉 正稔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (60508315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝原 友幸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (00355207)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人獣共通感染症起因菌 / レンサ球菌 / 血清型 / 表層抗原変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
豚レンサ球菌 (Streptococcus suis) は、豚を自然宿主とする人獣共通感染症起因菌であり、豚や人に髄膜炎や敗血症を引き起こす。表層抗原性に関わる莢膜やリポタイコ酸(lipoteichoic acid: LTA)は、S. suisを含め多くの病原細菌において主要な病原因子と考えられている。一方、これらの表層抗原は同一菌種内でも抗原性が多様であることが知られている。しかし、表層抗原性の相違が病原性を中心とした表現型にどの様な影響を及ぼすかについては、多くの病原細菌でよく分かっていない。本研究ではこれらの表層抗原の合成に関与する遺伝子 (群) を異なる型の株の当該遺伝子(群)と交換した抗原性変換株を作出し、マウスや自然宿主である豚への感染試験により、抗原性変換による病原性への影響を細菌学的及び病理学的なアプローチから明らかにすることを目的としている。本年度は莢膜型2型を親株とし、新たに2つの莢膜型変換株(14型及び9型)の作出及び4つのLTA関連遺伝子変換株の作出に成功した。これまで作出した変換株と合わせて、4つの莢膜型変換株(3型、7型、8型及び14型変換株)及び2つのLTA関連遺伝子変換株(親株を2株使用)について、その表層抗原を抽出・精製し、組成や構造を解析し、変換を確認した。また、マウスに関しては莢膜型変換により、死亡率が大きく上昇する型(8型)と低下する型(4型及び3型)が存在することが明らかになった。豚についても感染試験を実施したが、一部の変換株(4型及び3型)については病原性が明らかに低下した。以上から、変換する型により動物への病原性が変化しうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた表層抗原変換株の作出、表層抗原性変換の検証について大部分の変換株で実施した。また、動物(マウス及び豚)への接種試験についても、一部の変換株で実施しており、ほぼ予定通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果より、変換する表層抗原によっては動物への病原性に大きく影響しうることが明らかになった。次年度以降も当初の計画に従い、他の変換株について、引き続き動物への感染試験を実施するとともに、変換による表層抗原の発現への影響を電子顕微鏡により解析する。さらに、病原性の相違に寄与しうる表現型について、表層抗原変換株や親株間での比較・解析に着手し始め、表層抗原の型の相違が関連する病原性を解明していく予定である。
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