2021 Fiscal Year Annual Research Report
長鎖シークエンス技術を用いた肝癌の転写異常の包括的解析
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18H02680
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 明洋 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30525853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 英刀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (50361621)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 長鎖シークエンス / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、長鎖シークエンスを用いたトランスクリプトームの解析手法(SPLICEソフトウエア)を開発し、肝癌および非癌部肝臓42ペア(そのうちHBV陽性 16ペア)の転写産物の解析を終了した。この結果、以下の結果を得ている。(1)推定された発現量は、NGSによる発現解析の結果と高い相関を示した。また、予測された新規転写産物や融合遺伝子はRT-PCR法により増幅可能であった。このことから、我々の手法は精度が高いと考えた。(2)肝癌において融合遺伝子が146個検出された。また、NGSによるRNAseqの結果と比較したところ、共通して検出された融合遺伝子は10%程度であり、長鎖シークエンス法により新たな融合遺伝子が多数検出されると考えられた。(3)肝癌組織から60,011種類、非癌部肝臓から51,506種類の転写産物を同定した。それらのうち約7%はデータベースに記載がない新規転写産物であった。(4)HBV由来の転写産物を同定した。癌部と非癌部肝臓でHBVの転写開始点の違いが観測された。(5)B型肝炎ウイルスとヒトの融合転写産物を同定した。非癌部肝臓より、HBV-FN1遺伝子の融合遺伝子が高い頻度で同定された。また、癌部では、ヒトのトランスポゾン(TE; transposable element)とHBx(HBVの遺伝子であり、発癌に関与するとされる)の融合遺伝子が検出された。 この結果に基づき、細胞株を用いて過剰発現およびノックダウン実験を行った結果、HBV-ヒトTE、癌遺伝子MET-ヒトTE、がん抑制遺伝子HRH1-ヒトTEなどの融合転写産物は、細胞増殖活性に影響することが明らかになった。 以上の結果を論文してまとめ、投稿した。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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