2018 Fiscal Year Annual Research Report
最先端宇宙センサ技術で切り開く「がん幹細胞」の生体内可視化
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18H02700
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 伸一郎 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (80553718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳下 淳 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (20626676)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / 放射線 / 半導体 / プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、宇宙ガンマ線計測の最先端センサ技術を、in-vivo分子イメージング分野へ持ち込み発展させるという、独自のアプローチにより、既存のin-vivo分子イメージング装置よりも一桁優れた「100umの画像分解能」を実現し、同時に高精度の「マルチプローブ」画像化を可能とする、革新的な小動物用単一光子放射断層撮影装置NeXT-SPECTの実証機を開発する。NeXT-SPECTは、テルル化カドミウム(CdTe)半導体検出器とマルチピンホールコリメーターとを組み合わせた撮像モジュールを構成単位とする。被写体の周りに複数のモジュールを配置することで、多方向のプロジェクション画像を取得し、最終的に、放射性同位体の分布を3次元画像再構成することを目指す。本年度は、まず、ひとつの撮像モジュールを組み上げ、非密封線源等を用いた試験を行った。ピンホールの加工精度やモジュールのアセンブリの誤差由来する、設計値と実機のズレは、画像分解能を悪化させるため、これらを補正するキャリブレーションの手法を確立させることが目的である。通常、キャリブレーションは点線源を用いて行われるが、市販の点線源サイズは1mm程度であり、我々のシステムにとってはかなり広がった線源である。今回、アイソトープ協会と共同で点線源の開発を進め、300umのサイズの微小点線源を実現した。これを用いて、1000ポイント以上のスキャンを行い、得られたデータをもとに実機のシステムレスポンスを構築した。デレンゾファントムのデータに対して、実機のレスポンスを用いて画像再構成をおこない、250umの空間分解能を実証した。試作のピンホールの径は200umであるので、この結果は、今回開発したキャリブレーション手法が非常にうまく機能していることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年度始めに、研究代表者が沖縄科学技術大学院大学からカブリ数物連携宇宙研究機構に異動したため、実験環境が大きく変わった。そのため、研究が計画通りに進められないことが懸念される状況下で、本研究はスタートすることになった。実際、カブリ数物連携宇宙研究機構には、非密封線源を取り扱える放射線管理区域は存在しない。幸いにも、カブリ数物連携宇宙研究機構から徒歩3分に位置し、放射線管理区域を有する国立がんセンター東病院にて実験が行えるようになり、道が開かれた。現在、国立がんセンター東病院のがん研究のプロフェッショナルの助けを得て、共同で実験計画を立案し、実験を実施している。がん研究・治療の現場のニーズと、装置開発が密接に結びつくという、まさに理想的な環境である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに2次元ファントムで実証した実験結果を、3次元イメージングへと発展させることが重要である。125-Iや99m-Tcなどの非密封線源を用いて、空間分解能や検出効率を評価するための3次元ファントムを製作し、NeXT-SPECT試作機を用いた3次元画像再構成アルゴリズムの研究を進める。マウスなどの小動物を用いたin-vivo実験を計画し実行する。複数核種・プローブを用いたイメージングを行い、マルチプローブ同時イメージングを実証する。
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Research Products
(4 results)