2018 Fiscal Year Annual Research Report
多次元解析による神経性無食欲症のサイコバイオティクスの同定:治療薬の創発に向けて
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18H02754
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岸本 年史 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60201456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀本 創兵 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (00405391)
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
牧之段 学 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00510182)
鳥塚 通弘 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (20588529)
宮坂 俊輝 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00771023)
芳野 浩樹 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (10347560)
太田 豊作 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (10553646)
井川 大輔 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00526717)
北村 聡一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10714389)
山内 崇平 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20550817)
松岡 究 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80613794)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 脳腸相関 / 腸内フローラ / 思春期やせ症 |
Outline of Annual Research Achievements |
・腸内フローラは、消化管機能に影響を与えるだけでなく、摂食行動や情動などの精神症状(脳内環境)にも密接に関与していることがわかっている (脳腸相関)。神経性無食欲症(以下、AN)は、思春期に好発する精神疾患であり、身体象の障害、体重増加への過剰な恐怖による食行動の制限などから異常な痩せをきたす。その背景には多彩な精神症状を伴い治療は困難を極めるため、バイオマーカーの同定や新規治療法の開発が望まれる。これらに鑑み、我々はANの精神症状や行動異常に腸内フローラの変化が関与するか、またそれらに脳の炎症と免疫機構が如何に関連するかに焦点を当て、当該疾患の病態生理における脳腸相関円環の重要性を明らかにすることを目的に研究を開始している。 ・思春期AN患者における腸内フローラの変化、いわゆるdysbiosisが生じていることの確認。 思春期AN患者(13歳から18歳)、および年齢・性をマッチさせた対照群から糞便を採取している。AN3例および健常対照4例の糞便からDNA抽出を行ない、16S rRNA遺伝子を増幅し次世代シークエンサーにより腸内フローラ解析を行なった。その結果、2群間において菌相の構成が変化し、つまり優勢菌群の相違、およびα-diversityが低下していることがわかった。病気の経過の長いAN患者から行なった過去の腸内フローラ解析の結果と、今回得られた腸内フローラの解析結果は類似していることがわかった。これらの結果は、AN患者においては発症早期から腸内フローラが変化し、ANの病態に腸内フローラの変化が強く関与していることが示唆され、現在もサンプル数を拡大し腸内フローラ解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年次で順調に研究参加者よりサンプルを収集しているが、各種腸内フローラ解析においては外注を想定しており、サンプル数を一定水準にしてから、解析をおこなうのが費用対効果が高かったため、腸内フローラ解析については遅れを取っている。
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Strategy for Future Research Activity |
AN患者および健常対象での研究参加協力の募集を継続して、N数を増加する。腸内フローラ解析を中心とした各種検査項目についても、サンプル数を拡大する。そして各種検査指標において、疾患群における変化の有無を検討する。これら結果を統合することで、ANにおける脳腸相関連関の重要性を明らかにする。
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